研究課題/領域番号 |
22K09226
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
清水 宏明 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (20506638)
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研究分担者 |
板東 良雄 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (20344575)
渡邊 博之 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (80323145)
阿部 考貢 秋田大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (80911221)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | chronic / focal / brain low perfusion / mouse / suture model / 慢性脳低灌流 / 過灌流 / 脳血管自動調整能 / げっ歯類 / neurovascular unit |
研究開始時の研究の概要 |
脳動脈の高度狭窄や閉塞に伴う慢性脳低灌流では、血行再建術後に過灌流を来すことがあり長年の臨床的問題である。過灌流の背景をなす病態については未だ十分な知見は蓄積されていない。本研究では、①マウスおよびラットの局所慢性低灌流モデルを新たに開発し、②脳循環調整に重要と考えられるneurovascular unit(NVU)やtransient receptor potential(TRP)チャネルを含む脳組織の変化を分子生物学的に解明、③脳血管自動調整能や過灌流にどのように関与するかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、①げっ歯類の局所慢性低灌流モデル開発、②脳循環調整に関連しneurovascular unit(NVU)などが慢性脳低灌流でどのように変化するかを明らかにすることである。令和4年度は、①について実験を行い、雄C57BL/6Jマウス(後交通動脈発達が不良)においていわゆるsuture modelを応用して中および後大脳動脈(MCA、PCA)領域の慢性低灌流モデルを作成した。 当初は、ナイロン糸の太さや挿入長、コーティング長などを様々に変えて試行錯誤が必要であったが、その結果、頚部頚動脈分岐部から、先端1mmをシリコンコーティングした6-0ナイロンsutureを6mm挿入し、Laser speckle flowmetryで脳血流を観察した結果、同側MCA領域が対側の90%、PCA領域が80%になるモデルを比較的再現性よく作成できることがわかった。 この初期結果は学会発表にて報告した。今後は、さらに再現性を向上させるための方策を検討するとともに、摘出した脳を用いこの局所慢性低灌流領域に、どのような組織学的変化が生じるか、免疫染色等を用いて検討する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験の最初の段階では、5-0および6-0ナイロンsutureを用い、挿入する長さを5~9 mm、先端のシリコンコーティングの長さを1~3 mmで変化させるなど、慢性局所脳低灌流モデル作成に試行錯誤した。徐々に条件を詰めていき、結局、上記のように、6-0ナイロンを、6mm挿入することで目的を達成できた。 しかし、まだ急性脳虚血になって脳梗塞をきたすことや、低灌流の程度が弱い個体も存在するので、laser speckle flowmetryのリアルタイム測定の利点を生かし、工夫を行う予定である。 なお、本研究と関連し、laser speckle flowmetryの測定精度を上げるための研究も行い、論文発表した。
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今後の研究の推進方策 |
慢性低灌流モデルにおいて急性脳梗塞をきたすレベルの脳血流低下は、laser speckle flowmetryで対側脳の50-60%以下の血流(虚血)になったときであり、その個体においては6 mmの挿入が長すぎてMCAの入り口を塞いだ場合と推測している。そこで、このような虚血が見られた場合は、sutureを0.5 mmほど引いてMCAの入り口を開放することを試みる。このようにして局所慢性低灌流の作成成功率を向上させる。また、この低灌流を3日または7日持続したあと、sacrificeして脳を摘出し、今後病理組織所見の検討に入る予定である。 摘出した脳の病理組織学的な検討は、モデルが安定したあと実施予定である。
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