研究課題/領域番号 |
22K09238
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
増田 圭亮 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (60934411)
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研究分担者 |
比嘉 那優大 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (90792200)
米澤 大 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (50550076)
内田 裕之 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 特任助教 (80404482)
花谷 亮典 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (60304424)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | LPP / 膠芽腫 (Glioblastoma) / 浸潤・遊走能 / FMNL1 / FLNC / lipoma preferred partner / 膠芽腫 / α-Actinin |
研究開始時の研究の概要 |
膠芽腫は極めて予後不良な原発性悪性腫瘍の一つであり、その原因として広範な脳実質への浸潤・遊走のために高率に再発をきたすことが挙げられる。lipoma preferred partner (LPP) はTGF-βによって誘導される浸潤と遊走の重要な下流メディエーターであり、アクチン結合タンパクであるα-Actininに作用することでアクチン重合を促進すると考えられている。膠芽腫においてもα-Actininが運動能に寄与することから、膠芽腫の浸潤・遊走能にLPPが重要な役割を担っていると考えられる。本研究は、膠芽腫におけるLPPを中心とした新規浸潤・遊走機構を解明することを目的としている。
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研究実績の概要 |
膠芽腫は予後が1年半に満たない悪性度の高い原発性脳腫瘍である。その原因の一つは、が有する高い浸潤能・遊走能があると考えられている。申請者らは以前よりFMNL1 (Higa N et al, Int. J. Mol. Sci. 2019; 20, 6355) やFLNC (Kamil M et al, BRIT J CANCER. 2019; 120(8) 819-826) が膠芽腫の浸潤・遊走能に関与し、予後不良に関わる分子であることを報告してきた。また、The Cancer Genome Atlas (TCGA) のデータを用いた予後解析により、申請者らは膠芽腫において予後不良因子であるlipoma preferred partner (LPP) に注目した。 申請者らはLPPをノックダウンした細胞株と正常コントロールにおいて、 transwell assayを行い、浸潤・遊走能の定量的な測定を行った。結果としてコントロール群と比較して、LPPをノックダウンした細胞株では浸潤・遊走能がいずれも有意に低下していた。さらに、3D spheroid invasion assayでも同様の結果が得られることを確認した。また、鹿児島大学脳神経外科で摘出手術及び治療が行われた膠芽腫患者180例において、LPPの免疫染色を行い、LPP高値群(90例) とLPP低値群(90例)の二群に層別化した。Log-rank検定を行い、これらの生存曲線を比較したところ、LPP高値群はLPP低値群と比較して、有意に予後が不良であることを見出した。さらに、LPPと膠芽腫の予後についてさらに詳細な検討を行い、LPP発現と年齢、KPSスコア、EOR度、化学療法、放射線療法を含めた多変量解析を行い、年齢、KPSスコア、化学療法、放射線療法、LPP発現が有意であることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LPP発現が多様であり関連する遺伝子やタンパク質の同定に時間を要していることから「計画以上」とは言えないが、LPP発現と膠芽腫の予後について一定の成果は得られており、研究は順調に進行していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方針として、また、in vitroでは、LPPをノックダウンした検体と正常コントロールでα-Actininの免疫染色を行い、電光顕微鏡で局在を確認し、膠芽腫細胞においてもLPPがα-Actininと共同してアクチン重合を促進するか検討を行う。 また、LPP発現の複雑性についてさらなる検討の余地がある。多くの研究は、LPPが多くの癌細胞の悪性化や転移を促進するとしている一方で、B細胞リンパ腫患者においてはLPPが生存率向上の予測因子として同定された研究もある(Jais JP et al. Leukemia. 2008;22(10):1917-24)。乳がんにおいてはLPPが細胞外マトリックスを分解し、周囲の組織へ浸潤するための構造体であるinvadopodiaを形成する過程で、SHCAと協力することが発見されており、膠芽腫においてもLPPがinvadopodiaを形成する際に関連する遺伝子やタンパク質をさらに詳細に同定していく必要がある。このため、膠芽腫の浸潤・遊走能に関連する遺伝子について遺伝子解析を行っている。 研究成果は適宜論文にまとめ投稿する予定である。
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