研究課題/領域番号 |
22K09242
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
寺本 紳一郎 順天堂大学, 医学部, 助教 (60854677)
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研究分担者 |
近藤 聡英 順天堂大学, 医学部, 教授 (70338359)
田原 重志 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80277540)
後藤 広昌 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90622746)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | ICG蛍光輝度解析 / 下垂体機能 / 術中モニタリング / 内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術 / 頭蓋内組織血流量 / ICG蛍光輝度 / ICG投与プロトコル / ICG蛍光造影法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術にICG蛍光造影法を用いた、ICG蛍光輝度解析による下垂体機能の術中モニタリング法の開発を目的とする。正常下垂体のICG蛍光輝度変化と下垂体ホルモン分泌能の相関性を解析し、下垂体予備能評価法を確立する。これにより術後下垂体機能低下症の早期治療が可能になり、良好な術後転帰が得られる。本研究が開発する下垂体機能の光学的リアルタイムモニタリング法は、下垂体手術の新しい術中支援として活用でき、より安全な内視鏡治療の発展へ貢献できる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術において、下垂体腫瘍摘出後に残存する正常下垂体に対しICG蛍光造影法を行い、下垂体が表すICG蛍光輝度は下垂体血流を反映すると仮定し、そのICG蛍光輝度を定量化することで、下垂体予備能を予測することである。故に、ICG蛍光輝度の測定は重要であり、2023年度はICG投与プロトコルを確立した。ICG投与手順は、内視鏡下で下垂体腫瘍摘出後にICG 25mgを蒸留水10mlに希釈し、体重あたり0.1mg/kgの投与量で静注。そしてICG静注後に生理食塩水20mlを後押しで静注して、これらの作業を30秒以内に行う。術中ICG投与の作業は麻酔科医に行って頂くため、麻酔科医にも安全なICG容量で、ICG投与操作も滞りなく行えることを確認している。また、ICG蛍光内視鏡を設置する位置は当初の研究計画的には蝶形骨洞前面に統一する予定であったが、蝶形骨洞の大きさや腫瘍サイズにより、残存する正常下垂体とICG蛍光内視鏡スコープの距離が症例によって異なるため、ICG蛍光造影剤の輝度測定が一定にならないことがあると考えられた。そのため、最もクリアにICG蛍光輝度が描写される方法を検討し、結果的に画質が落ちる可能性を排除するため光学ズーム機能は使用せず、等倍率で画面全体に正常下垂体が入る位置にスコープを設置する方針とした。 現在は、内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出後に、内視鏡スコープをICG蛍光用に変更し、正常下垂体が当倍率で全面に入るようにスコープを設置後、麻酔科医にICG投与を行って頂き、正常下垂体のICG蛍光輝度がクリアに描出されることを確認するところまで実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究において、内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出後の正常下垂体におけるICG蛍光輝度のクリアな描出は非常に重要である。しかしながら、当初の研究計画的には蝶形骨洞前面に統一する予定としていたが、症例により蝶形骨洞の大きさや腫瘍サイズが異なるため、残存した正常下垂体とICG蛍光内視鏡スコープの距離が様々であることが判明した。これは、ICG蛍光造影剤の輝度測定が一定にならない可能性があると考えられたため、最もクリアにICG蛍光輝度が描写される方法を検討することに時間を要した。 結果的には、画質が落ちる可能性を排除するため光学ズーム機能は使用せず、等倍率で画面全体に正常下垂体が入る位置にスコープを設置する方針としている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策としては、術中にICG蛍光造影剤により描写された正常下垂体にRegion of interest(ROI)を設定し、近赤外蛍光観察カメラシステムを使用して、ICG蛍光輝度のピークタイミングの追跡および計測を行う。正常下垂体のICG蛍光輝度変化は、両側の内頚動脈の発光を確認できれば下垂体灌流が始まったと判断して、その時点を計測開始とする。そして、最高輝度(Imax)、最高輝度の半分量に到達するまでの時間(T1/2)、最高輝度に到達するまでの時間(Tmax) を基準に、ICG蛍光輝度-時間曲線を作成し、ICG蛍光輝度-時間曲線のT1/2とTmaxのAUCは下垂体機能の光学的な定量評価として算出する。 ICG蛍光輝度測定により、下垂体機能の光学的な定量評価が可能になった後は、下垂体ホルモン分泌能とICG蛍光輝度の定量評価の相関確認を行うため、術前に内分泌負荷試験を行い、対象患者が下垂体機能低下症ではないことを確認した上で、術後の内分泌負荷試験で、副腎皮質機能、甲状腺機能、性腺機能、成長ホルモン分泌機能を評価して、各々のホルモン分泌機能の判定結果と、T1/2およびTmaxのAUCに相関関係があるか解析する。さらに解析が進められる場合は、相関関係を認めた下垂体ホルモンのT1/2とTmaxのAUCからカットオフ値を導き出し、術後のホルモン分泌能を判別する指標を決定する。
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