研究課題/領域番号 |
22K09260
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
川西 裕 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (90527582)
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研究分担者 |
上羽 哲也 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00314203)
宇高 恵子 高知大学, 医学部, 特任教授 (40263066)
八幡 俊男 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (40380323)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | WT1 vaccine / glioma / immunotherapy / glioma stem cell |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、1)腫瘍組織におけるがん幹細胞の含有率や免疫応答性を含めたがん形質に関与する性質が治療効果に与える影響を明らかにする。2)網羅的解析により治療反応性を予測するがん幹細胞や血清中のバイオマーカーを見出すことで、治療効果が期待出来る患者を事前に同定する方法を開発する。3)これらの分子群のうち免疫逃避に関わるものを同定し、チェックポイント阻害薬など免疫制御可能な薬剤や高分子多糖体を用いた併用療法の開発へと展開する。
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研究実績の概要 |
これまで当施設で独自に行っている悪性グリオーマに対するWT1-W10免疫療法の臨床試験において,免疫療法を施行した患者群で著効例と考えられる長期生存例が存在することを明らかにした。2022年度までの検討において,同時期に治療を行った悪性グリオーマ患者群との治療成績と比較しても予後が良い傾向があることが示唆された。 2023年度は,免疫療法を行った患者群のなかで再発し再手術で腫瘍組織を得られた症例についての解析を行うこととした。再発時の組織を初発時のものと比較することで,なぜ免疫療法が無効となったのかを検討することができると考えた。臨床試験に参加した症例のうち再手術を行ったのは5症例であった。免疫染色での解析を行い,WT1抗原の発現が低下あるいは消失する症例があることが判明した。ターゲットとなる抗原が低下することで,免疫療法の効果が減弱するものと考えられた。さらに,腫瘍の微小環境についても調べるため,腫瘍に浸潤したリンパ球の解析を行った。CTL活性を有するCD8陽性リンパ球は,再発時においてもその比率は初発時のものよりも増加する傾向があったが,Tregで発現されるFOXP3陽性リンパ球の比率も上昇する傾向が認められた。CTL活性は誘導されているが,Tregにより腫瘍免疫が抑制されている可能性が示唆された。ただし,テモゾロミド併用していた患者ではTregの比率が低下しており,化学療法の併用が免疫療法にとって不利にならないことも示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究により,免疫療法が無効となる理由を知るうえで重要な知見を得ることができた。再発時には,WT1抗原の発現が低下し腫瘍細胞が免疫逃避をしており,腫瘍の微小環境においても,Tregにより腫瘍免疫の効果が減弱させられていることが示唆された。現在までの研究の進捗状況としては概ね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
患者の腫瘍細胞を培養し,グリオーマ幹細胞の樹立できたものもあり,順次解析を行う予定である。長期生存例と考えられる患者の末梢血の培養を用いたペプチド反応性の解析も続けており,バイオマーカーの探索も行っていく。 WT1ワクチン投与群と対照群との比較に関してはWHOグレード,IDH遺伝子変異の有無,MGMT遺伝子のメチル化などで分類した治療成績も解析中である。次年度は,これまでの研究成果を論文化して公表することを目指している。
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