研究課題/領域番号 |
22K09262
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
横上 聖貴 宮崎大学, 医学部, 准教授 (40284856)
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研究分担者 |
水口 麻子 宮崎大学, 安全衛生保健センター, 講師 (00647472)
山下 真治 宮崎大学, 医学部, 講師 (40468046)
竹島 秀雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (70244134)
渡邉 孝 宮崎大学, 医学部, 客員研究員 (90573337)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 概日リズム / BMP / ALK3 / GREM2 / 髄膜腫 / 細胞老化 / 石灰化 / メチオニン代謝 / 脂質代謝 / 脳腫瘍 / メチオニン / 代謝 / 幹細胞 / 神経膠芽腫 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、腫瘍細胞における代謝経路の再編成が、エピジェネティックな変化や、RNA修飾によって腫瘍細胞死の回避に関与するシグナル伝達系の活性化をおこし、細胞増殖、生存、浸潤、幹細胞性維持に関与していることが注目されている。我々は神経膠芽腫幹細胞における代謝経路の再編成が脂質代謝を介して、細胞死回避、増殖や治療抵抗性に与える機序について網羅的に解析を進めてきた。その解析で変化の大きかった概日リズム経路の活性化に注目した。本研究では、メチオニン代謝再編がもたらすエピジェネティクス・RNA修飾が概日リズムを介して、脂質代謝、腫瘍細胞死回避、増殖や治療抵抗性に与える機序について解明する。
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研究実績の概要 |
下に記したように概日リズムと悪性神経膠腫の密接に関連について研究を進めていたが、既に発表されている内容のみで新たな発見には至らなかったため、研究対象を広げ、髄膜腫での概日リズムについて調べることにした。動脈硬化の分野では概日リズムの乱れは動脈硬化と密接に関連しており、概日リズムを司るBMAL1の欠損は、BMPを介したシグナル伝達を介して内皮間葉転換(EndMT)を悪化させるという報告があり(Am J Transl Res, 2018)、髄膜腫についてこれを調べた。髄膜腫は、良性の場合石灰化を伴うと成長速度が遅く、周囲の骨にhyperostosis など骨の変化をもたらすという特徴がある。BMP signal は骨形成にかかわる成長因子でもあるため、BMP signal と髄膜腫の成長速度、石灰化は関係があるのではないかと考えた。以下に実験の結果を示す。 1)髄膜腫の初代培養細胞と、悪性髄膜腫の細胞株を用いてALK3 を介するBMP シグナルを抑制すると髄膜腫の増殖が抑制された。2)ALK3 の結合蛋白であるGREM2の発現が高いと腫瘍の増殖能力は低下し、細胞老化をもたらすことを見出した。3) BMP シグナルの抑制はキヌレニン産生からセロトニン産生へトリプトファン代謝をシフトさせ、酸化的リン酸化にかかわる酵素発現を減少させることを見出した。4)ALK3 の抑制薬を長期間作用させると、悪性髄膜腫において細胞老化、石灰化を誘導することができた。
本研究結果は、BMP シグナルを制御することによって、細胞老化という新しい機序で悪性髄膜腫の増殖を制御する新たな治療法の提案が可能と考え特許の申請を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は、概日リズムと悪性神経膠腫の密接な関連について研究を進めていたが、既に発表されている内容のみで新たな発見には至らなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で使用した、ALK3阻害薬は、使用濃度が高く動物実験には使用できない可能性がある。そこで、本阻害薬の構造式をもとに in silico で構造の似た低分子化合物を pick up し、同様の結果が得られるのかを検討する。また、vitro で得られた結果をもとに動物実験を行いたいと考えている。最終的には、概日リズムと細胞老化の関係性に踏み込みたいと考えている。
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