研究課題/領域番号 |
22K09270
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
高見 俊宏 大阪医科薬科大学, 医学部, 特別職務担当教員(教授) (20305626)
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研究分担者 |
矢木 亮吉 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (00632283)
川端 信司 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (20340549)
鰐渕 昌彦 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (30343388)
平松 亮 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (40609707)
亀田 雅博 大阪医科薬科大学, 医学部, 特別職務担当教員(講師) (50586427)
古瀬 元雅 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (70340560)
野々口 直助 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (70388263)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ホウ素中性子捕捉療法 / 脊髄神経膠腫 |
研究開始時の研究の概要 |
BNCTは腫瘍細胞を選択的に破壊する治療法であり、治療困難ながん治療への応用が期待されている。希少疾患である脊髄神経膠腫(特に悪性神経膠腫)の治療では、手術による後遺障害の危険が高いため部分摘出に終わることが多く、放射線治療・化学療法に頼らざるを得ず、現状の治療成績を凌駕する新たな治療手段がない。本研究では、脊髄神経膠腫に対するBNCTの確立に向けた基盤研究を目指す。研究方法として①脊髄神経膠腫ラットモデルの作成、②ホウ素化合物投与後の脊髄組織内ホウ素濃度の測定と至適投与条件の検討、③中性子照射実験の3段階とする。脊髄神経膠腫に対するBNCTの確立に向けた基盤データを構築する。
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研究実績の概要 |
【研究背景・目的】ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は細胞レベルで標的を絞ることができる粒子線治療である。難治性疾患である脊髄神経膠腫に対するBNCT治療効果は未知数である。本研究ではラット脊髄神経膠腫モデルを用いて脊髄神経膠腫に対するBNCTの有効性を評価した。 【方法】F98ラット神経膠腫細胞および9L神経膠肉腫細胞にホウ素化合物(BPA)を投与した時に細胞内ホウ素濃度を計測した(in vitro実験)。次いで、F98ラット神経膠腫または9Lラット神経膠肉腫細胞をラットのTh9/10高位髄内に移植し、ラット脊髄神経膠腫モデルを作製した(in vivo実験)。同モデルにラット体重kg当たり250mgのBPAを静脈内投与し、ホウ素の生体内分布を計測した。さらに、F98ラット脊髄神経膠腫モデルに対してBPA静脈内投与2.5時間後に中性子照射を行い、後肢筋力の変化を評価し、最終的な生存期間を解析した 【結果】in vitro実験では、細胞内ホウ素濃度は投与したBPA濃度と相関して上昇した。in vivo実験では、ホウ素濃度は投与後2.5時間で正常脊髄(F98: 5.3±1.3, 9L:4.2±0.6 μg B/g)に対し腫瘍(F98:26.6±5.8, 9L:15.3±4.5 μg B/g)であり、正常組織に対し腫瘍において有意なホウ素集積を認めた。さらに、ラット脊髄神経膠腫モデルでは、経時的に後肢機能悪化による運動低下を認めた。中性子照射実験では、BPA投与2.5時間後で照射すると、後肢機能悪化の抑制があり、さらに生存期間延長を認めた。 【結論】ラット脊髄神経膠腫モデルにおいてBNCTの有効性が示唆された。BPAを用いたBNCTは脊髄神経膠腫に対する有望な治療の選択肢となる可能性がある。今後は、腫瘍細胞内ホウ素濃度を選択的に高めることと、中性子照射線量の最適化が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脊髄神経膠腫の動物実験モデルにおいて、脊髄神経膠腫に対するBNCTの有効性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
今後に複数のホウ素化合物併用による効果だけでなく、ホウ素化合物の局所投与について検証を行う予定である。
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