研究課題/領域番号 |
22K09277
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
杉山 慎一郎 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (30623152)
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研究分担者 |
新妻 邦泰 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10643330)
安西 眸 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (50736981)
船本 健一 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (70451630)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 脳動脈瘤 / 数値流体力学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、将来、破裂する危険性の高い未破裂脳動脈瘤の一群を同定することである。数値流体力学(computational fluid dynamics: CFD)を用いて、脳動脈瘤内の血行動態を解析し、その特徴に基づき、未破裂脳動脈瘤および破裂脳動脈瘤の2つの群を分類、両者の比較から破裂リスクが高い群を同定する。得られた知見を用いて、血行動態に基づく新しい脳動脈瘤診療を提案する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、血行動態に基づいた未破裂脳動脈瘤分類の作成、および、破裂リスクの高い群の同定である。有病率が2-6%と極めて高く、MRI装置の普及した本邦において診断例が増加している未破裂脳動脈瘤について、将来、破裂リスクが高く、外科的治療介入を行った方が良いと考えられる群を明らかにする。加えて、「血流」という新しい視点から、脳動脈瘤診療における新しい診断モダリティを提案することを目論む。 そのための方法論として、本研究では「血流解剖に基づくデータベース・アプローチ」という、極めて独創的な手法を用いる。ここでいう「血流解剖」とは、数値流体力学的解析(computational fluid dynamics解析:CFD解析)を用いて、脳動脈瘤内の複雑な血行動態を時間的・空間的に分割し、その基本構造を可視化する作業のことを言う。 研究過程は大きく3段階に分けられる。第1段階は、未破裂脳動脈瘤(約600例)について、血流解剖に基づく分類を行うことである。第2段階は、破裂脳動脈瘤(約300例)について、親動脈の幾何学的特徴を数値化することである。研究の第3段階は、第2段階において抽出した破裂脳動脈瘤における親動脈の特徴を「識別キー」として、未破裂脳動脈瘤データベースを参照し、破裂リスクの高い群を同定することである。 研究の第1段階、すなわち、未破裂脳動脈瘤データベースの構築は終了し、その分類に際しては、AIデータ解析技術の活用にも取り組むこととなった。脳動脈瘤の好発部位のうち、まずは、中大脳動脈分岐部および内頚動脈-後交通動脈(IC-PC)分岐部に絞って研究を進めているところである。とくに、IC-PC分岐部動脈瘤においては、AIデータ解析技術を用いて、いくつかの群に分類できることが実証できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の第2段階において、破裂脳動脈瘤のデータ解析を行っているが、未破裂脳動脈瘤と異なり、データの質が低いために除外せざるを得ない症例が散見される。脳動脈瘤破裂はくも膜下出血を引き起こすため、意識障害に伴う不意の体動などにより、安定した医用画像データ取得ができなかった例が存在するのはやむを得ない。これにより、蓄積可能な症例が、計画当初に見積もっていた症例数(約300例)に達しない可能性がある。しかし、研究目的の達成に必要な症例数は確保できる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、未破裂脳動脈瘤に対する新規画像診断手法を、血流という全く新しい切り口から提案するものである。その将来的な普及を見据え、現在から独善的な立場に陥ることのないように注意するとともに、医療の現場で利活用できるような出口戦略を模索する必要がある。出口戦略の一案として、学術機関におけるコアラボの設置を考えている。 また、本研究に4D-FLOWのデータを使用する目途が立った。4D-FLOWとは、人体の血流を非侵襲的に可視化・定量化するMRI撮像シーケンスおよびポスト処理のことである。4D-FLOWを用いることで、脳動脈瘤の血流を、さらなる妥当性をもって解析することが可能になる。
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