研究課題/領域番号 |
22K09280
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西村 由介 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20447816)
|
研究分担者 |
永島 吉孝 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20867684)
夏目 敦至 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任教授 (30362255)
古橋 和拡 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50835121)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | ヒト由来歯髄幹細胞 / Neurod4 / MCP-1 / 下肢運動機能 / マクロファージ / TGF-β / 脊髄損傷 / 神経再生 / 歯髄幹細胞 / バイオイメージング |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは『損傷脊髄を完全に再生する驚異的な能力を持つアフリカツメガエル幼生期に強く発現し、脊髄再生に関わるNeurod4などの塩基性ヘリックスループヘリックス(bHLH)神経転写因子を歯髄幹細胞に遺伝子導入してラット脊髄損傷モデルに投与することで、歯髄幹細胞自体をニューロンへ分化させ神経回路を再構築し、神経栄養因子分泌による脊髄再生効果に相加的かつ加速度的な神経機能回復が得られる』という仮説を立て、これを実証する。
|
研究実績の概要 |
アフリカツメガエル幼生期に高発現し、脊髄再生に関わるNeurod4(bHLH神経転写因子)をクローニングし、これをパッケージング用細胞株にトランスフェクションして、目的のレンチウイルスベクターを作成した(Neurod4-SHED)。ウエスタンブロットでNeurod4が発現されていることを確認した。次に、200-250gのratを下位胸椎椎弓切除し、30gクリップを用いて圧座損傷を加え、損傷直後にNeurod4-SHEDを直接髄内投与した。対照群としてNeurod4-SHEDを含まないMock SHED群、naive SHED群、PBS投与群を加えて。損傷4週間後まで1週間ごとにBasso-Beattie-Bresnahan(BBB) scale及び、Inclined plane testによる運動機能評価を行った。in vitroでNeurod4-SHEDを導入したSHEDのRNA sequenceを行った。運動機能評価では、Neurod4を導入したSHED投与群では、対照群と比較してBBB及びIncline plane testの結果がより改善する傾向にあり、Neurod4-SHEDを導入したSHEDが脊髄機能回復に寄与することが示唆された。液性因子ではMCP-1の上昇が認められ、M2マクロファージ誘導による炎症の抑制に寄与している可能性が示された。Neurod4-SHEDのRNA sequence解析では、神経再生に関与しうるものとしてIGF-1やWntシグナルなどの上昇が見られた。Neurod4-SHED群ではM2マクロファージ誘導により抗炎症作用を示し、IGF-1やWntシグナルの上昇も機能改善に寄与している可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進展していると判断しているが、現在注目しているのは損傷2週間以内の時点での脊髄損傷後の空洞形成や免疫制御についてであり、4週間後以降での神経再生の状態は十分なデータがそろっていないため、今後は炎症制御の結果による神経再生の状態、移植細胞自体がどのような細胞に分化しているか、その動態を評価していく予定としている。慢性期における神経再生の評価に関してはまだ十分な知見を蓄積できておらず、今後の課題である。
|
今後の研究の推進方策 |
現在注目しているのは損傷2週間以内の時点での脊髄損傷後の空洞形成や免疫制御についてであり、4週間後以降での神経再生の状態は十分なデータがそろっていないため、今後は炎症制御の結果による神経再生の状態、移植細胞の動態を評価していく予定としている。具体的には、免疫染色による評価、透明化技術による神経軸索可視化(Green fluorescent protein (GFP)により運動神経軸索をラベリングして、透明化技術で運動神経軸索を可視化し、微細な神経軸索の再生を評価する。)、細胞内カルシウム動態の観察を可能とするGCaMP6を遺伝子導入したSHEDが機能的再生を達成したか解析・検証する。
|