研究課題/領域番号 |
22K09282
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高垣 匡寿 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70724433)
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研究分担者 |
川端 修平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (20764062)
西田 武生 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (30533806)
寺田 栄作 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (40869541)
中川 僚太 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50889920)
角野 喜則 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (60770675)
中村 元 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (80533794)
福田 竜丸 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90825712)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | microbiota / sidewall aneurysm model / Helsinki rat model / gut microbiota / coil embolization / 脳血管内治療 / 腸内細菌 / シンバイオティクス |
研究開始時の研究の概要 |
未破裂脳動脈瘤の破裂予防のために行われる脳血管内治療はデバイスの留置により血管上皮の形成を促すことで治癒を得るものである。この治療法は低侵襲で良好な結果が得られるものの再発率の高さが問題であり、治癒率の向上が求められている。近年、腸内細菌叢は血管形成術後の上皮形成に影響を与えることが動物実験において証明されている。本研究の目的は、臨床研究、及び動物を用いた基礎研究を行い、腸内細菌叢を用いて脳血管内治療の効果を強化・補助するためのシンバイオティクス(腸内細菌叢の改善)という、補助的治療法『Adjuvant Synbiotics』の可能性を見出すことである。
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研究実績の概要 |
本研究は、抗生剤を飲料水に混ぜて飲ませることで腸内細菌を変化させたラット(抗生剤群)と、通常の飲料水を飲ませたラット(コントロール群)の2群において、動脈瘤治療後の治癒過程の変化を見るものである。 本年度は大きく分けて、①動脈瘤モデルの確立、②動脈瘤検体の採取・観察およびパラフィン切片の作成、③血管内膜の評価を行うことができた。①について、まずはHelsinki sidewall aneurysm modelを確立し、概ね均一な時間内で均一な動脈瘤モデルを作成することに成功した。また、動脈瘤を作成したラットが術後30日時点で生存しており、かつ作成した動脈瘤が自然に血栓化することがないことを確認することができた。その上で、動脈瘤作成時に動脈瘤塞用のコイルを挿入し、こちらも術後30日時点で安定して生存していることを確認することができた。②について、①で作成したモデルを術後14日、28日にパラホルムアルデヒドで灌流固定して動脈瘤を採取し、内膜を肉眼的に観察した。その後、動脈瘤検体は脱水してパラフィンで包埋しパラフィンブロックとした。このパラフィンブロックをダイヤモンド入り円盤型ドリルで約1mm間隔で切断し、顕微鏡下にコイルを除去した後にパラフィンで再包埋し、滑走型ミクロトームで安定して6μmの切片を作成することに成功した。③について、②で作成した切片をH-E染色し、2群間での内膜を観察した。まだ検体数が不足しており統計学的に有意な差はみられていないが、抗生剤群においてより厚い内膜がみられる傾向があり、現段階では仮説を支持する結果が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・実験で使用するコイルは高価であり、コストの観点から得られる数量が限られているため、実際にコイルを留置するまでに十分にHelsinki sidewall aneurysm modelが安定して作成できることを確認する必要があったため。 ・動脈瘤の切片を作成する前にコイルを除去する必要があるが、既報で使用されていたダイヤモンド刃が当施設になく、代替法を模索する必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
作成した切片について、H-E染色、免疫染色を行い、抗生剤群とコントロール群での比較を行う。2群で有意な差がみられれば、治癒過程の差となった原因を検討する。 具体的には、両群において採取した便検体で16s RNA解析を行い、腸内細菌を比較する。またsacrifice時に採取した血液検体で生化学検査を行う。 腸内細菌叢や生化学検査において有意な差が見られた場合、先行文献などと照らし合わせ、必要に応じて追加検査も行いながら、動脈瘤の治癒過程に差を与える要素として妥当かどうかを検討する。
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