研究課題/領域番号 |
22K09287
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松永 裕希 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (80772136)
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研究分担者 |
中川 慎介 福岡大学, 薬学部, 准教授 (10404211)
諸藤 陽一 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (40437869)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 造影剤脳症 / 血液脳関門 / in vitroモデル / MAP kinase / 造影剤 / In vitro model |
研究開始時の研究の概要 |
現在脳卒中診療において大きなパラダイムシフトとして脳血管内治療の進歩が挙げられる。造影剤の使用頻度増加に伴い造影剤脳症の発生頻度も増加傾向にあるが、その原因・発生機序についてほとんど解明されておらず未開の領域となっている。BBBの機能的な構築には基本構成単位である脳毛細血管内皮細胞、ペリサイト、及びアストロサイト間のクロストークが不可欠である。本研究ではこれら全ての細胞を組み合わせた複数の共培養in vitro BBBモデルを用いて、造影剤がBBBに与える影響及び作用機序の解明を行う。このメカニズムを解明し、造影剤脳症に対する予防・治療薬の開発を進めたいと考えている。
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研究実績の概要 |
血液脳関門(blood-brain barrier: BBB)は脳の恒常性保持に重要な役割を果たしており、そのBBBの機能的な構築には基本構成単位である脳毛細血管内皮細胞、Pericyte (PC)、及びAstrocyte (AC)間のクロストークが不可欠である。造影剤は画像診断や血管内治療の分野で広く使用されており、近年治療技術、デバイスの進歩によって脳神経血管内治療が急速に浸透しつつあるが、治療に伴う合併症のひとつとして造影剤脳症が挙げられる。造影剤脳症の発生機序に不明な点が多く、この領域に関して基礎研究がなされていない現状がある。本研究はヨード造影剤Iopamidolを用いてBBBに与える影響及びその造影剤脳症の発症機序について解析を行う。近年二量体で構成されるダイマー型造影剤の使用頻度が増加傾向にあり、造影剤の種類によるBBBへの障害性の違いについて検討を行った。ラット初代培養脳内皮細胞を用いたcell viabilityの検討においてIopamidol(モノマー)群, Iodixanol(ダイマー)両群ともに内皮細胞に対して濃度依存性にcell viabilityの低下を認めるが、Iodixanol群はIopamidol群と比較してcell viabilityの低下が低かった。さらにin vitro BBBモデル(内皮細胞単層モデル)を用いてBBB障害性の検討を行ったところ、臨床使用されている濃度での造影剤短時間暴露によって一時的なBBB機能障害が起こるが、Iodixanol群はBBB機能障害性がIopamidol群と比較して低いことが示された。上記実験結果より、造影剤の種類によってBBBへの影響が異なること、またダイマー型造影剤はモノマー型造影剤と比較してBBB障害が軽減できることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳内皮細胞におけるMAP kinase経路とペリサイト、アストロサイトのクロストークが造影剤誘発性血液脳関門障害に関与し、造影剤の血管外漏出は造影剤脳症の発症要因になりうることを見出した。また造影剤の種類によってBBBへの影響が異なること、またダイマー型造影剤はモノマー型造影剤と比較してBBB障害が軽減できることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、すでに一時的な血管内腔への造影剤投与はBBBへ与える影響は少ないこと、脳実質内へ造影剤が移行し存在することによってBBB機能を低下させること、またその作用機序として脳内皮細胞におけるMAP kinase pathwayやペリサイト・アストロサイトのクロストークが関与していること、造影剤の種別(低浸透圧・等浸透圧造影剤)によって障害性の差異があることを見出した。本研究をより推進させ造影剤脳症の発症機序解明やBench to bedへ活かせる結果を見出していきたいと考える。
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