研究課題/領域番号 |
22K09298
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮崎 拓自 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (70908194)
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研究分担者 |
清水 智弘 北海道大学, 大学病院, 講師 (60784246)
照川 アラー 北海道大学, 医学研究院, 助教 (00723074)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 骨折 / 関節破壊 / 急速破壊型股関節症 / 大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折 / 慢性炎症 / 免疫異常 |
研究開始時の研究の概要 |
軽微な骨折が引き金となり、局所的な慢性炎症により、急速かつ高度に関節破壊が生じる急速破壊型股関節症と変形性関節症へ分かれる病態メカニズムは十分に分かっていない。本研究の目的は、ヒトサンプルを対象として、①手術時に摘出される滑膜・関節液、血清を取得し疾患別の自然免疫異常の関与、②滑膜マクロファージ及び関節液におけるエクソソームの同定・糖鎖プロファイル変化、③炎症細胞関連細胞死(パイロトーシス)の制御による関節破壊・変性の制御効果を調査する。原因不明の骨、関節破壊疾患と関節変性の分水嶺が明らかにされることにより、関節破壊・変性疾患の創薬ターゲットや予後予測因子同定につながる可能性がある
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研究実績の概要 |
急速破壊型股関節症 (RDC) は、急速に関節破壊を来す疾患で、大腿骨側のみならず寛骨臼側の骨破壊を来し、感染やリウマチと酷似する。大腿骨頭軟骨下脆弱 性骨折 (SIF) との関連が報告されているが、SIFは変形性股関節症(OA)の前病変であり、SIFからRDCに至るメカニズムは不明である。本研究では、炎症に重要なNLRP3インフラマソームによって生じる滑膜炎により、RDCの高度骨破壊を生じると仮説を立て、RDC、OA、大腿骨頭壊死症(ONFH)の滑膜を比較し、NLRP3インフラソームと骨破壊との関連の検証を目的とした。 RDC、OA、ONFH64例を対象とし、臨床データをカルテより抽出、手術時に採取した滑膜を免疫組織染色、さらに滑膜繊維芽細胞(FLS)を単離してqPCRにより遺伝子解析を行った。In vitroの検証として、インフラマソーム経路で活性化させたMφとFLSを共培養、さらに共培養されたFLSと新たなMφcell lineを共培養して、qPCR、TRAP染色により、炎症マーカー・破骨細胞の発現を検証した。 血液データで全身性炎症関連因子に有意差はなかった。免疫染色にて、RDCではNF-kB、TRAP陽性細胞、NLRP3関連マーカーが発現、FLSで炎症関連マーカー、蛋白分解酵素の遺伝子発現が有意に上昇した。インフラマソーム経路で活性化されたMφcell lineと共培養されたFLSでも同様の結果で、共培養されたFLSにより破骨細胞分化は有意に促進された。 RDCに、NLRP3インフラマソームによる局所炎症と滑膜内の破骨細胞分化が関連することが示された。骨基質成分がNLRP3インフラマソームを活性化させ破骨細分化を促進させることから、SIF圧潰進行により骨基質成分が関節内と連続することで、RDCに至る可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
急速破壊型股関節症の発生要因にインフラマソームがあることをヒトサンプルを用いた検証で同定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
NLRP3インフラマソームの発現するトリガー因子に関する検証を行う予定。
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