研究課題/領域番号 |
22K09300
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺島 明日香 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (30596937)
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研究分担者 |
齋藤 琢 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30456107)
竹谷 英之 東京大学, 医科学研究所, 講師 (90206996)
大野 久美子 東京大学, 医科学研究所, 助教 (30444251)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 血友病性関節症 / 滑膜 / 関節 / 血友病 / 関節症 |
研究開始時の研究の概要 |
血友病は血液凝固因子の欠損または活性低下によって発症する遺伝性血液凝固異常症で、関節内出血に起因する血友病性関節症が多関節に好発する。ただし、他の関節症研究と比べ発症機序の全容解明はなされていない。関節内出血は滑膜炎を引き起こし関節障害に発展すると考えられるが、詳細な分子メカニズムは不明である。本研究では血友病性関節症及び変形性関節症の滑膜検体を詳細に解析比較し、血友病性関節症特有の発症機序の解明に挑む。ヒト臨床検体解析に加え、血友病性関節症モデル動物を利用し出血開始から経時的に疾患発生に至る各イベントを明らかにする。血友病関節症の関節破壊メカニズムを紐解き、新たな治療法開発の分子基盤を築く。
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研究実績の概要 |
血友病は血液凝固因子 VIII 因子(血友病 A)、IX 因子(血友病 B)の欠損による遺伝性血液凝固異常症である。易出血性に起因する関節内出血が繰り返されることで滑膜炎が誘導され、骨・軟骨損傷がおこり、関節の痛みや可動域の制限など関節の機能障害を伴う、血友病性関節症が発症する。滑膜炎は可逆的であるが、関 節障害は不可逆的なプロセスであり、QOLの著しい低下が認められる。しかしながらこの骨破壊のメカニズムはほとんど明らかになって おらず、有効な治療法は確立されていない。現状では症状が進行してしまった場合、人工関節の置換術などの外科的処置を選ぶしかなく、その場合でも耐久性や術後の感染リスクなどの課題が残る。したがって血友病性関節症の病態解明と新規治療法の確立は重要である。そこで本研究においては血友病関節症を誘導する細胞や経路を明らかにし、新規治療法開発の基盤づくりを目的とする。研究はヒト臨床検体及び動物モデルでの血友病性関節症の解析を同時に進め、比較することにより、臨床で観察される血友病性関節症特有の関節破壊機序の核心に迫りつつ動物モデルのメリットを活かし、関節内出血発生からの経時的変化をつぶさに追いかけ、血友病性関節症特異的な分子メカニズムを解明することを目的としている。本年度は臨床検体の提供に同意してくださった方々および研究分担者の協力のもと、滑膜切除術、人工関節置換術で発生した滑膜組織や軟骨組織、軟骨下骨組織の切除サンプルをサンプリングし、病理組織切片作製し、特徴的な表現型を見出すことができた。また、臨床検体組織からRNAを採取して遺伝子発現解析も進められた。細胞の採取まで行えた一部のサンプルについては、フローサイトメトリーによる細胞の解析データも集めている。ヒト臨床検体の解析と並行して血友病性関節症モデルマウスの解析も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血友病性関節症患者の手術は変形性関節症に比べて手術件数が圧倒的に少なく集まりにくい状況は以前として続いている。こちらの点に関しては、研究分担者とさまざまに協議を重ね検体採取を試みている。このように検体集めは困難を極めているが、本年度においては集められた臨床検体サンプルにおいて、遺伝子発現解析を進めることができた。所属ラボで蓄積されている変形性関節症検体データとの比較を進め、血友病性関節症特異的な経路を見出しつつある。また、血友病マウスをもちいた、新規血友病性関節症マウスモデルの作製では、臨床で観察されるような関節症の経過をたどれそうであることもわかった。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体の解析から血友病性関節症特異的な関節炎増悪に関する経路の候補をいくつか見出すことができた。今後はこの経路にかかわる因子や上流因子の解析を中心に行っていく。また、こうした候補経路や因子が動物モデルではどのように変動していくかを経時的に観察することで血友病性関節症増悪の分子メカニズムに迫りたい。
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