研究課題/領域番号 |
22K09308
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
白石 大偉輔 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (70769512)
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研究分担者 |
菰原 義弘 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (40449921)
藤原 章雄 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (70452886)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 骨軟部肉腫 / 免疫微小環境 / 腫瘍関連マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
近年、免疫療法の開発により悪性腫瘍に対する治療戦略が大きく変わりつつあるが肉腫の治療に関しては大きな変化はない。肉腫に対しては従来の外科的拡大切除が標準治療であるが、転移・再発症例における有効な治療法は確立されておらず、転移・再発の予防は重要なテーマである。我々はこれまでの研究でマウス骨肉腫細胞株であるLM8細胞から5つのサブクローン(2株は肺転移するが3株は転移しない)を樹立した。本研究では、肉腫転移に関わる新たなメカニズムを探索するため、これらの細胞に関してそれぞれの遺伝子発現やメタボロームの違いを詳細に解析し、転移能(+)株と転移能(-)株での比較を行うことで転移に関わる因子を探索する。
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研究実績の概要 |
近年、免疫療法の開発により悪性腫瘍に対する治療戦略が大きく変わりつつあるが肉腫の治療に関しては大きな変化はない。肉腫に対しては従来の外科的拡大切除が標準治療であるが、転移・再発症例における有効な治療法は確立されておらず、転移・再発の予防は重要なテーマである。本研究では、肉腫転移に関わる新たなメカニズムを探索するため、転移能 (+)株と転移能(-)株での比較を行うことで転移に関わる因子を探索する。特に免疫微小環境に影響を及ぼす因子に注目し、阻害療法を用いて肉腫細胞の転移・発育に関与する因子の探索を行うことで、肉腫における新たな診断マーカーや分子標的療法の臨床応用ヘの寄与を目指すことを目的とする。 本年度は、マウス肉腫細胞株LM8のサブクローン株から調整した肺転移能(-)株と肺転移能(+)株における遺伝子発現の違いをRNAシークエンスにて解析した結果から同定された転移や免疫微小環境における免疫抑制に関与する可能性の考えられる候補因子についてタンパクレベルでの発現の違いを解析した。 その結果、候補因子と同定された因子の中からCCR7等がタンパクレベルでの違いが認められた。また、転移先組織での腫瘍の生着に関わる腫瘍微小環境を形成する細胞であるマクロファージのフェノタイプを誘導する因子が、肺転移能(+)株において高発現していることならびに、抗腫瘍免疫に関わるリンパ節洞マクロファージの活性化を抑制する因子の高発現が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の実験計画における大きな目標としては、肉腫転移に関わる新たなメカニズムを探索するため、転移能 (+)株と転移能(-)株での比較を行うことで転移に関わる候補因子をタンパクレベルで探索することであった。本年度は、前年度RNAシークエンスにて解析にて同定した転移や免疫微小環境における免疫抑制に関与する可能性の考えられる候補因子についてタンパクレベルでの発現の違いを解析したところ、CCR7やCXCR4がタンパクレベルにおいても肺転移能(-)株と肺転移能(+)株との間に発現の違いが認められた。また、転移先組織での腫瘍の生着に関わる腫瘍微小環境を形成する細胞であるマクロファージのフェノタイプ(CD163陽性M2マクロファージ)を誘導する因子として知られるIL-10の発現増加も転移能 (+)株にて認められた。さらに、腫瘍関連マクロファージの活性化制御を有するCD163抑制化合物としてUrosolic acidやフラボノイド化合物を同定し、それら化合物はマクロファージならびに腫瘍細胞に対してSTAT3の活性化を抑制すること、および、マクロファージと腫瘍細胞の共培養条件において腫瘍細胞の増殖を抑制することを明らかにした。さらに、それら化合物の投与が腫瘍移植モデルマウスにおいて腫瘍転移を抑制することを明らかにした。ゆえに、本計画の進捗度としては着実に進捗しており成果も出つつあることから、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、まずは転移能(-)株および転移能 (+)株を用いて、マクロファージやリンパ球など腫瘍微小環境中に存在する細胞と共培養し、その共培養条件において、候補因子として同定された因子(CCR7やCXCX4等)の発現変動をin vitroレベルで解析する。また、転移能(-)株および転移能 (+)株をC3Hマウスの皮下に移植し、皮下腫瘍と肺転移病変における候補分子(CCR7やCXCX4等)の発現を免疫染色やFACS, Western blotなどで確認する。また、同定された候補因子に対する阻害剤(化合物や中和抗体)が腫瘍移植モデルマウスに投与することで皮下腫瘍の発育や肺転移が抑制されるかどうかを解析する。さらに、CD163/CD169制御によるマクロファージ活性化制御化合物を用いて、同様にこれら化合物が腫瘍移植モデルマウスに投与することで皮下腫瘍の発育や肺転移が抑制されるかどうかを解析する。本検討を行うことで、肉腫細胞の転移・発育に関与する因子の探索を行い、将来的に肉腫における新たな診断マーカーや分子標的療法の臨床応用ヘの寄与する基礎的知見を得ることを目指す。
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