研究課題/領域番号 |
22K09309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
谷口 昇 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20626866)
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研究分担者 |
前田 真吾 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (60353463)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Inflammaging / HMGB1 / 骨粗鬆症 / 骨芽細胞分化 / inflammaging |
研究開始時の研究の概要 |
慢性炎症の蓄積が加齢であるという”Inflammaging”は、超高齢化社会の課題であるフレイルや運動器不安定症を解決する大きなヒントであり、その開始点のdanger moleculesの自己由来分子群がDAMPsである。本研究ではDAMPsの一員HMGB1と機能的相補性が予想されるHMGB2に着目し、骨芽細胞特異的に成獣期でコンディショナル・ノックアウトしたマウスの骨を詳細に解析することで、HMGBファミリーの骨形成と骨リモデリングへの関わりを探究する。これによりHMGB1/2の加齢による骨代謝変化における意義と、inflammaging制御療法としての新規骨粗鬆症分子治療標的としての妥当性を検証する。
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研究実績の概要 |
慢性炎症の蓄積が加齢であるという”Inflammaging”の概念は、超高齢化社会の課題であるフレイルや運動器不安定症の根底に多大な役割を演じている可能性がある。これを惹起するdanger moleculesの自己由来分子群がDAMPsであり、本研究ではDAMPsの一員HMGB1と機能的相補性が予想されるファミリー分子HMGB2について、骨芽細胞特異的に成獣期でコンディショナル(c)ノックアウト(KO)したダブルcKOマウスの骨を詳細に解析することで、HMGBファミリーの骨形成と骨リモデリングへの関わりを探究する。Hmgb1とHmgb2のそれぞれのcKOマウスの導入は、当大学動物飼育施設の改修に伴う動物移転のために中断していたが、今年度中旬から運用が再開された。それぞれのマウスlineの精子から人工授精により生体確保と飼育を再開し、順調に繁殖を続けている。一方、Col1a1-Creマウスの導入も開始できており、来年度以降にHmgb1とHmgb2のcKOマウスとのmatingを開始できる予定である。 また、閉経後骨粗鬆症と老人性骨粗鬆症ではその成因から病態に差異があるはずで、後者にinflammagingが関与していれば、そこに単刀直入に介入する治療がさらに有効で、骨だけでなく老化関連運動器障害を幅広く改善するかもしれない。そのために、雌マウスの卵巣摘出による閉経後骨粗鬆症モデルを導入し、手技的な安定性を得るために予備実験を継続している。 本研究の側で、やはりinflammagingが関与している変形性関節症(OA)の中でも、肩関節の腱板断裂性関節症(CTA)ラットモデルの樹立に成功し(10.1016/j.ocarto.2023.100389)、このモデルの軟骨下骨におけるHMGB1の発現パターンを免疫組織化学的に解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進捗が遅れている最大の原因は、本学動物実験施設の改修に伴う生体飼育の約1年に及ぶ中断である。これに伴って、施設運用再開後も順次人工授精による生体確保を余儀なくされ、その繁殖にも当然時間がかかっている。しかし、飼育再開後に特にトラブルはなく、今後は計画通りの所要期間で、cKOとCreマウスの掛け合わせと、その表現型解析が可能となる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本来のCol1a1-Cre Hmgb1 cKOマウスの解析は遅れているが、上述のCTAラットモデルの解析から、Hmgb1が関節軟骨表層と、軟骨下骨に出現するパンヌス様線維細胞(間葉系幹細胞の性質を確認している)に強く発現することが分かった。そこで、それぞれの細胞でHmgb1をcKOする戦略も考えてCreマウスを導入していく。 Col1a1-Cre Hmgb1 cKOマウスに関しては、予定通りにマイクロCTや骨形態計測をはじめとした表現型の解析を行い、またこれを卵巣摘出モデルでも同様に行い、加齢性及び閉経後の骨粗鬆症における骨芽細胞に発現するHmgb1の役割を解析していく。表現型が弱ければHmgb2とのredundancyを考慮して、順次Hmgb2 cKOとのダブルcKOマウスを作製し、解析していく予定である。
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