研究課題/領域番号 |
22K09322
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
大鹿 周佐 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (40431449)
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研究分担者 |
山田 勝也 弘前大学, 医学研究科, 特任教授 (40241666)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 肉腫 / 蛍光L-グルコース / 糖代謝イメージング / 蛍光グルコース |
研究開始時の研究の概要 |
原発性悪性骨・軟部腫瘍(肉腫)は、その希少性と多様性から診断や治療に難渋することが多い。我々は、正常細胞にほとんど取り込まれないが、がん細胞に選択的に取り込まれる可能性のある蛍光L-グルコース(2-NBDLG、CLG)に注目した。すでに骨肉腫細胞における2-NBDLGの取り込みをin vitroで確認したが、CLGの腫瘍識別能と抗腫瘍効果も期待される。2-NBDLGとCLGの腫瘍識別能の違い、CLGの抗腫瘍効果を、in vitroとin vivoのどちらでも明らかにする。蛍光L-グルコースの応用は、肉腫を正確に識別できる画像診断法だけでなく、肉腫を選択的に捕捉可能な治療薬の開発に繋がる。
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研究実績の概要 |
本研究の先行研究として、高い浸潤能と抗がん剤抵抗性を有し再発や転移の原因となりうるside population(SP)細胞における蛍光グルコース(2-NBDG、2-NBDLG)の取り込み評価を行った。骨肉腫細胞株U2OSを、抗がん剤であるドキソルビシンを培地に添加して長期培養を行うことで、Hoechst33342を排出するSP細胞が有意に増加した。通常の培地で培養したU2OS(正常群)、DOX培養したU2OS(DOX群)、DOX群からさらにSP細胞のみを抽出したSP群の3群で、蛍光グルコースの取り込みを比較した。その結果、蛍光グルコースの取り込み比率(2-NBDLG/2-NBDG)はSP群、DOX群、正常群の順に高くなった。グルコースト取り込み阻害剤であるphloretin (PHT)による阻害効果は、SP群、DOX群、正常群の順に低下した。以上の結果より、蛍光グルコースの代謝変化を評価することで、SP細胞などの薬剤耐性を有する細胞集団を識別できる可能性が示された。 本題の研究として、CLGの細胞への取り込みと抗腫瘍効果をin vitroで確認することにした。その結果、U2OSにおけるCLGの取り込みとPHTによる取り込み阻害効果を認め、概ね2-NBDLGと同じ程度の取り込みを示すことが確認された。細胞増殖に及ぼすCLGの効果をXTT testで評価したところ、CLG濃度を増やして投与することで、U2OSの細胞増殖が有意に抑制された。つまり、CLGが抗腫瘍効果を有する可能性が示された。 上記先行研究が完結し、CLGの抗腫瘍効果(in vitroのみ)が確認されたこから、今後は2-NBDLGとCLGの腫瘍識別能の違い、CLGの抗腫瘍効果を、in vitroでさらに詳細に評価しながら、in vivoでの効果を証明するための研究を進める方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Side population細胞(SP細胞)は高い浸潤能と抗がん剤抵抗性を有し、再発・転移の原因となりうるが、実臨床でそれらを識別できる画像診断技術は開発されていない。蛍光L-グルコース(2-NBDLG、CLG)を実臨床で応用するためにも重要な先行研究と判断して、まずはSP細胞の研究を進めた。2023年度でその研究を区切りよく完結させることができたため、令和6年度からは本題のCLGを中心としたin vitroとin vivoの研究を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度では、U2OSに加え、研究協力者から譲渡していただいたヒト由来肉腫細胞株(未分化多形肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍)を用いて、蛍光L-グルコースの取り込みや抗腫瘍効果をin vitroで評価する。また、ヒト由来肉腫細胞株ゼノグラフトモデルにおける蛍光L-グルコースの取り込み・抗腫瘍効果も評価したいと考えている。以上、2-NBDLGとCLGの腫瘍識別能の違い、CLGの抗腫瘍効果を、in vitroとin vivoのどちらでも明らかにするための研究を進める方針である。
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