研究課題/領域番号 |
22K09330
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岩橋 徹 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40852108)
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研究分担者 |
田中 啓之 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任教授(常勤) (00432542)
村瀬 剛 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (50335361)
岡 久仁洋 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (50724085)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 末梢神経再生 / シュワン細胞 / 血管内皮細胞 / 接着分子 / 接着因子 |
研究開始時の研究の概要 |
末梢神経損傷後の再生過程初期において、損傷部での血管新生とそれに続くシュワン細胞の遊走は重要なファクターである。神経損傷部の断端同士の間では遊走したシュワン細胞が整列し、それに沿って神経の枝が伸びて再生が進行する事が以前より知られていた。近年の報告により、シュワン細胞の整列は断端間を架橋した血管内皮細胞に沿って行われる事が分かってきた。しかし、その際に両細胞間で働く接着分子などの相互作用メカニズムに関しては未だ明らかになっていない。本研究の目的は、この末梢神経再生において重要な過程で働くメカニズムを解明し、新たな神経再生促進治療の足がかりを作る事である。
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研究実績の概要 |
昨年度にNCBIより取得したRNAシーケンスデータから、マウス坐骨神経損傷後初期にシュワン細胞と血管内皮細胞間に働く接着分子候補の絞り込みを行った(シュワン細胞側をA、血管内皮細胞側をBとする)。昨年度と同様にラット坐骨神経の5mm欠損モデルを作製し、人工神経での架橋を行った。昨年度から更にシュワン細胞および血管内皮細胞のマーカー、それに対する抗体製剤、免疫染色で用いる蛍光の増幅条件の検討を重ねた。最終的に用いる染色条件を決定し、昨年度行った術後7日の染色に加えて、術後3日、5日、14日、21日、28日のサンプルを追加作製し染色を行った。その結果、血管内皮細胞はシュワン細胞に先行する形で術後14~21日にはほぼ架橋が完成しており、遅れてシュワン細胞は近位側優位に遊走、術後28日で架橋が完成していた。血管内皮細胞におけるBの発現は遊走前線部を中心に見られているが、架橋が完成した術後21日以降も発現は続いているようであった。一方でシュワン細胞は術後21日では前線部にAの発現が見られたが、架橋が完成した術後28日ではBの発現は乏しくなっていた。 この結果から、血管内皮細胞は先行して架橋を行うがBの発現は後続するシュワン細胞のためにしばらく続いており、一方でシュワン細胞におけるAの発現は前線部のみに限局し架橋後は速やかに発現が減衰するといったダイナミクスを持つ可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの実験により候補分子であるシュワン細胞のAおよび血管内皮細胞のBは絞り込めており、生体サンプルにおける動向も時系列的に確認できている。
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今後の研究の推進方策 |
シングルセルRNAシーケンスによって時系列的にこれらの細胞の発現ダイナミクスがどうなるのかを確認すべく、細胞単離の条件を検討中である。加えて、in vitroでシュワン細胞の遊走に分子Bが与える影響、またその際にはたらく細胞内シグナル経路を同定すべく、条件検討中である。
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