研究課題/領域番号 |
22K09340
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
中村 博亮 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (60227931)
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研究分担者 |
鈴木 亨暢 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00445016)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 腰部脊柱管狭窄症 / 黄色靭帯 / 力学的負荷 / Periostin / Integrin |
研究開始時の研究の概要 |
腰部脊柱管狭窄症は高齢者の歩行障害の原因として頻度の高い疾患であり、黄色靭帯の肥厚が狭窄の主原因である。力学的負荷が肥厚の要因とされるが、その分子メカニズムは未だ解明されていない。我々は力学負荷により黄色靭帯の肥厚を引き起こす動物モデルを確立し、黄色靭帯の肥厚に関与する分子を複数同定・報告してきた。本研究では、同定された分子の中から、力学的負荷に応答し線維化に関与するPeriostin-Integrinシグナルについて、ヒト黄色靭帯組織および初代培養細胞での発現解析、シグナル伝達経路の解析、および黄色靭帯細胞に対する機能解析を行い、本シグナル遮断薬の効果を黄色靭帯肥厚動物モデルにて検証する。
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研究実績の概要 |
腰部脊柱管狭窄症は高齢者の歩行障害の原因として頻度の高い疾患であり、黄色靭帯肥厚が狭窄の主原因である。力学的負荷が黄色靭帯肥厚の要因とされるが、分子メカニズムは未だ十分には解明されていない。我々はこれまでに黄色靭帯肥厚動物モデルを用い、力学的負荷により黄色靭帯内で増加する分子の1つとしてPeriostinを同定した。本研究の目的はPeriostinの発現や機能解析をヒト黄色靭帯組織および初代培養細胞を用いて行い、さらにPeriostinシグナルを遮断する薬物療法の効果を黄色靭帯肥厚動物モデルにて検証する事である。 黄色靭帯細胞へ力学的負荷の影響を評価するために、Fluid flow shear stress(FFSS)を加えた所、Perisotin及びIL-6の遺伝子発現が上昇する事が確認された。そこで、FFSSによるIL-6の遺伝子発現へのPerisotinの関与を評価するために、siRNAを用いてPerisotinの発現を抑制し、FFSSを加えたところ、FFSSによるIL-6の遺伝子発現は抑制された。一方でPeriostinの投与によりIL-6遺伝子発現は上昇した。以上の事から黄色靭帯内において力学的負荷によりPerisotinが増加し、さらにPerisotinによりIL-6の発現が増加すると考えられた。 次にPeriostinのシグナル伝達経路を同定するため、Cilengitide(Integrin阻害剤)を用いた実験を行った。Cilengitide投与によりFFSSによるIL-6の遺伝子発現は抑制されたが、Periostinを投与する実験系では細胞密度やプレートの違いからかCilengitideを投与すると細胞の剥離を認め、評価困難であった。 現在、IL-6の黄色靭帯細胞への作用を評価するための実験系の至的な条件設定を探索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
黄色靭帯におけるPeriostinによるIL-6の発現増加に関するシグナル伝達経路を解明するべく、Periostinの受容体として報告されているIntegrin阻害剤の投与実験を行ったが、細胞がプレートから剥離し、条件設定に時間を要した。原因として細胞密度や培養プレートの影響が考えられたが、Periostin投与の実験系においては未だ細胞剥離の問題が解決できていない。また、IL-6が黄色靭帯細胞に及ぼす作用を解明すべくIL-6を投与する実験を行なっているが、至適な条件の探索に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
黄色靭帯肥厚におけるIL-6の役割について黄色靭帯細胞を用いて評価を行なっていく。また、黄色靭帯肥厚ウサギモデルへのPeriostinやIntegrin、またIL-6のアンタゴニスト投与もしくはsiRNA導入が黄色靭帯の菲薄化もしくは肥厚の悪化を予防するかを検証する予定である。
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