研究課題/領域番号 |
22K09343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
池上 拓 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70934587)
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研究分担者 |
田中 賢 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (00322850)
牛久 智加良 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10338874)
穴田 貴久 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (30398466)
米本 圭吾 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50894466)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | バイオフィルム / 高分子修飾 / ポリ(2-メトキシエチルアクリレート) / 中間水コンセプト / 免疫応答 / 中間水 |
研究開始時の研究の概要 |
骨折治療手術などで汎用される金属製インプラントは、骨組織との間に骨性結合(osseointegration)され、その機能を発揮する。一方で,インプラント表面に病原細菌が付着すると,バイオフィルムを形成し難治性インプラント感染となる.本研究分担者らは,金属インプラントに化学的表面修飾をすることで、骨との固着性を大きく向上させる金属インプラント表面の高分子修飾法を開発し、更にその表面では病原細菌の付着性が抑制されることを確認した。本研究では,金属製インプラントの化学的表面修飾による,バイオフィルム形成について,画期的手法を用いて評価する.
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研究実績の概要 |
我々は、可逆的付加-開裂連鎖移動重合により高分子ポリ(2-メトキシエチルアクリレート; PMEA)を作成することができ、抗血栓性材料として人工血管、カテーテル等に実用化している。また、ナノ高分子コーティング法によるPMEA修飾純チタン製円柱の作製に成功し、病原細菌の付着性が抑制されることを確認した。一方で、その表面における病原細菌を介したバイオフィルム形成能については不明である。バイオフィルム形成はインプラント感染治療の大きな壁となるため、高分子修飾された金属インプラントを骨関連手術に応用するためには、この問題を評価する必要性がある。 2022年度までに我々はPMEA修飾純チタン製円柱を用いたin vivoでの研究を進め、力学試験、組織学的骨形態計測を行った。その結果本材料は、良好な生体適合性および骨性結合を獲得できることが分かった。次に感染実験についてPMEA、PMEAの誘導体である高分子ポリ(3-メトキシエチルアクリレート) および、抗血栓性を有するPMEAのnegative controlとして高分子ポリ(butyl acrylate)それぞれで修飾したPET基板を用いた。黄色ブドウ球菌の菌液を作成し、それぞれの基板を浸漬したGlucose添加BHI(brain heart infusion) (BHIG)および、NaCl添加(BHIN)の2種の液体培地で24時間静置培養した。基板表面に形成されたバイオフィルムを染色し定量比較を行った。BHIG培地ではPMEA修飾PET基板上において、修飾なしPET基板と比較し優位にバイオフィルム形成が少なかった。BHIN培地では有意差を認めなかった。 本実験結果より、BHIG培地でのPMEA修飾のバイオフィルム形成抑制効果が確認できた。 Glucose添加は、タンパク質に依存したバイオフィルム形成を誘導することが知られており、今後は金属表面での水和条件の変化がバイオフィルム形成抑制に与える機序を形態学的、分子学的に評価するとともに、in vivoにおける抗菌性試験を行う予定である。
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