研究課題/領域番号 |
22K09350
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
井上 大輔 金沢大学, 医学系, 助教 (00707094)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 人工関節周囲感染 / ポピドンヨード / 術中洗浄液 / 術中予防洗浄液 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は希釈ポピドンヨード術中洗浄液の「至適希釈濃度・至適浸漬時間・術中洗浄を行うべきタイミング」を臨床現場に即還元することを命題とし、「整形外科手術で実際に使用するチタン製金属インプラント」を用いかつ実際の手術時間も模倣したbench to bedな研究を行う.
|
研究実績の概要 |
当該年度は、in vitroにおける研究を前年度で確立した研究モデルを基に継続的に行った。希釈ポピドンヨード洗浄液の至適プロトコールの検証に対して使用したインプラントは、直径12mm・ 厚さ1.6mmのチタン製金属ワッシャーとした。菌株は、PJIの起因菌で最も多いMSSA(ATCC25923) とした。検討に用いる術中洗浄液は、ポピドンヨードの至適希釈濃度を探索するため、0.9%生理食塩水(コントロール)・0.13%・0.35%希釈ポピドンヨード洗浄液の3種類を使用した。PJIモデルの作成として,菌液が付着したインプラントをすぐにTSB培地に移動させ培養し、実際の手術時間を模倣する目的で、TSB培地への浸漬時間を 15・30・60・120分と各々の検討を行った。 抗菌効果に関しては,金属表面に形成されたバイオフィルムを定量的(細菌数)/定性的(蛍光顕微鏡・走査電子顕微鏡)に検討を加えた.その結果、定量的評価として希釈平板法にて金属表面に形成されたMSSAの浮遊細菌数ならびにバイオフィルム内細菌数に関しては、0.13%・0.35%希釈ポピドンヨード洗浄液を30分以内に使用することが望ましい結果となった.これは定性的評価として蛍光顕微鏡・走査電子顕微鏡で検討したが,矛盾しない結果がえられた。一方、細胞障害性評価に関しては、培養ヒト骨芽細胞を用いてWST-1 assayにて生存細胞数を計測した.その結果、0.35%希釈ポピドンヨード洗浄液ではどの使用間隔でも生理食塩水に比較して細胞障害性を認めたが,0.13%希釈ポピドンヨード洗浄液を30分毎以上で使用することで細胞障害性は生理食塩水と同等であった.したがって、バイオフィルム形成を有意に阻害し,細胞障害性が最も少ない使用方法は、0.13%希釈ポピドンヨード洗浄液を30分毎に使用することが理想的ではないかと考えられた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroにおける研究モデルが確立されたため,当該年度はin vitroの研究が順調に遂行された。最終年度はin vitroで判明した理想的な希釈ポピドンヨード洗浄液の濃度・洗浄間隔のデータを参考にして,in vivoにおいてその有効性を検討することを予定している.
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度ではin vitroで判明した最も効果的な希釈ポピドンヨード洗浄液の使用方法を参考に,10週齢のSDラットを用いてin vivoでの研究を遂行する予定である.希釈ポピドンヨードの希釈濃度に関しては、in vivoの環境下では体液により幾分かポピドンヨード濃度が薄められることを考慮して、0.13%/0.2%/0.35%の3種類を用いて比較検討を行う.ラット大腿骨遠位(膝関節)を用いてPJIモデルを作成し,どの希釈ポピドンヨード洗浄液が最も抗菌効果ならびに抗バイオフィルム効果を示し,かつ組織障害性が少ないかを検討する.また大腿骨の病理標本も作製することで、病理学的評価も行い検討する予定としている.
|