研究課題/領域番号 |
22K09354
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
今出 真司 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (10581077)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 生体吸収性ネジ / プラズマ表面処理 / 表面粗さ |
研究開始時の研究の概要 |
生体吸収性樹脂の一つであるuHA/PLLAから製作されたネジが臨床使用され、生体内で加水分解され抜去不要という特徴を持つ。しかしネジ表面は金属ネジ同様滑らかで、生体内で経時的に緩みを生じる可能性がある。ここで、金属インプラントの表面処理を施すことで骨-インプラント間接着を促進する技術が研究され実用もされている。これをネジに応用すれば緩み防止につながるものの、後日の抜去を前提とする金属ネジでは難しく、他方u-HA/PLLAネジでは理論上可能である。本研究の目的は、u-HA/PLLAに対する表面粗さ処理および大気圧下プラズマ表面処理が生体内での経時的固定力に与える影響を明らかにすることである。
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研究実績の概要 |
昨年度の研究からu-HA/PLLAに付与する表面粗さ条件とプラズマ処理条件が確定した。本年度は効率よく研究を遂行するため、各処理の生体内効果について優先的に検証した。具体的には径3mm、長さ20mmの釘状u-HA/PLLAを製作、これに表面粗さ条件とプラズマ処理を付与し家兎へ移植後、その変化を観察した。各処理の詳細は、表面粗さ単独、プラズマ処理単独、表面粗さとプラズマ処理併用の各群を設定し、対照に未処理群を設けた(各n=5)。家兎大腿骨顆部に内側から外側へu-HA/PLLA釘を移植、2週間飼育の後、標本を採取した。 解析はマイクロCTによる新生骨量評価、およびu-HA/PLLA釘押込み試験による固定強度評価を実施した。マイクロCTでは母床骨と-HA/PLLA釘間隙を関心領域とし、その中のボクセル毎のCT値を全て抽出した。CT値170以上の領域を新生骨と定義(過去の独自研究から決定)し、関心領域全体に対するその比率を算出した。固定強度は独自に開発した治具を用い、大腿骨顆部から釘をその軸方向に押込み、釘が緩むまでの最大負荷を固定強度と定義し測定した。 その結果、プラズマ処理の有無のよる新生骨形成率に有意な差は認めなかった。一方で表面粗さ処理によって固定強度は有意に増加し、またプラズマ処理が加わることでその効果はより顕著となった。以上から、今回評価したプラズマ処理条件は単独で骨形成促進効果は確認できなかったものの、表面粗さ処理と併用することで相乗相加効果が期待できることが示唆された。 その他、本技術搭載予定のu-HA/PLLAネジの臨床実績を重ね、その臨床成績、および基礎的研究成果を学会および書籍で公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の効率を重視し、当初予定していた生体外での細胞レベル評価は保留とし、より臨床応用に有用な情報を獲得できる生体内研究を優先し実施した。その結果、これまでわかっていなかった複数の知見を得る事に成功した。研究手法も安定しており、来年度のこれを継続する事で大きな成果が期待できる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定の生体外実験は未実施だが、全体として進捗に遅れはない。予定通り進めていく。
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