研究課題/領域番号 |
22K09384
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
及川 恒輔 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70348803)
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研究分担者 |
佐藤 冬樹 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (60400131)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 粘液型脂肪肉腫 / キメラがんタンパク / 分子標的治療 |
研究開始時の研究の概要 |
骨軟部腫瘍は組織型ごとに特異的なキメラ遺伝子を持つものが多く、それらの遺伝子産物は腫瘍の発生や進展に寄与すると考えられている。キメラ遺伝子を構成する遺伝子は機能的に共通する特徴を持つものも多いことから、様々な骨軟部腫瘍の発生における共通の分子機構の存在も想定される。本研究では、粘液型脂肪肉腫特異的キメラがんタンパクTLS/FUS-CHOPの新規腫瘍関連機構の解明を行い、ここで得られた知見をモデルとして、様々な骨軟部腫瘍に共通する分子機構の同定とそれを利用した新規治療法開発への糸口をつかむ。
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研究実績の概要 |
骨軟部腫瘍は組織型ごとに特異的なキメラ遺伝子を持つものが多く、それらの遺伝子産物は腫瘍の発生や進展において中心的な役割を担っていると考えられている。キメラ遺伝子を構成する遺伝子は機能的に共通する特徴を持つことも多いことから、様々な骨軟部腫瘍共通の腫瘍関連分子機構の存在が想定される。本研究では粘液型脂肪肉腫特異的キメラがんタンパクTLS/FUS-CHOPの新規分子機能の解明を通じ、多くの骨軟部腫瘍に共通する腫瘍関連分子機構の同定と、それを利用した新規治療法開発を目指す。 1. 次世代シークエンサーを用いたTLS/FUS-CHOPの新規下流分子の同定とその機能解析。粘液型脂肪肉腫由来培養細胞を用いたRNA-seq解析により、TLS/FUS-CHOPのノックダウンで発現変動するRNA群の中から腫瘍関連機構への関与が疑われる遺伝子をピックアップし、その機能の解析を進めている。また、TLS/FUS-CHOPによる抗腫瘍性サイトカインIL-24の新規抑制機構を解明した(Oikawa et al., Biomed. Rep. 2023)。 2. TLS/FUS-CHOPのサーカディアンリズムへの影響に起因する腫瘍関連機構の検討。TLS/FUS-CHOPが概日時計タンパク質DEC1を発現抑制することから、研究分担者の佐藤博士とともにDEC1とTLS/FUS-CHOPとの機能的関連性の解析、およびDEC1の新規機能の検索を行っている(Sato et al., BMC Mol. Cell Biol. 2024)。 3. TLS/FUSと結合するlong noncoding RNA (lncRNA)の機能発現における腫瘍関連機構の探索。TLS/FUSと結合するlncRNAの検索のためにRIP-seq/CLIP-seqなどの解析を想定しているが、現在、その技術的な検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究項目1の「次世代シークエンサーを用いたTLS/FUS-CHOPの新規下流分子の同定とその機能解析」については、RNA-seq解析においてTLS/FUS-CHOPの新規下流分子の候補としてピックアップされた遺伝子群の解析を精力的におこなっているところである。その中のSOX11については、培養細胞を用いた検討により粘液型脂肪肉腫細胞の増殖に関与することが示唆された。さらに、ChIP-seqなどの検討から、SOX11の転写がスーパーエンハンサーによる制御を受けている可能性が示唆され、現在重点的に検討を進めている。一方、TLS/FUS-CHOPの下流分子の機能解析に関連して、TLS/FUS-CHOPによる抗腫瘍性サイトカインIL-24の新規抑制機構を論文として報告した(Oikawa et al., Biomed. Rep. 2023)。 また、研究項目2の「TLS/FUS-CHOPのサーカディアンリズムへの影響に起因する腫瘍関連機構の検討」については、概日時計タンパク質DEC1とTLS/FUS-CHOPとの関連の解析を行っているところであるが、それに関連して、DEC1の新規機能についての論文を出すことができた(Sato et al., BMC Mol. Cell Biol. 2024)。 さらに、研究項目3の「TLS/FUSと結合するlong noncoding RNA (lncRNA)の機能発現における腫瘍関連機構の探索」については、RIP-seq/CLIP-seq解析などによるTLS/FUS-CHOPあるいはTLS/FUSと結合するlncRNA群の同定において、その実験の成否に大きく影響する適切な抗体の選択の検討など、関連する技術的検討が進んでおり、次年度には遂行できると想定している。 以上より、全体としては概ね順調に進捗していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究項目1の「次世代シークエンサーを用いたTLS/FUS-CHOPの新規下流分子の同定とその機能解析」については、現在、RNA-seq解析によりピックアップされた新規TLS/FUS-CHOP下流分子の候補群の解析を進めているところだが、その中で特に、TLS/FUS-CHOPノックダウンで最もそのmRNAの減少率が高かった転写因子SOX11について重点的に検討を進める。具体的には、SOX11の粘液型脂肪肉腫における役割を主に培養細胞を利用して検討していく。また、これまでの研究で、粘液型脂肪肉腫におけるSOX11の発現制御がスーパーエンハンサーを介して行われていることが示唆されたことから、その詳細について、次世代シークエンサーを用いた解析などで検討を行っていく。 研究項目2の「TLS/FUS-CHOPのサーカディアンリズムへの影響に起因する腫瘍関連機構の検討」については、引き続き概日時計タンパク質DEC1に着目し、既に予備的な実験から示唆されているTLS/FUS-CHOPによるDEC1発現抑制の機構の詳細な検討に加え、粘液型脂肪肉腫細胞におけるDEC1の機能についての解析を進めていく。また、DEC1自体の分子機能の検討も進める。 研究項目3の「TLS/FUSと結合するlong noncoding RNA (lncRNA)の機能発現における腫瘍関連機構の探索」については、上記研究項目1のRNA-seqにより、TLS/FUS-CHOPノックダウンで発現変動するlncRNA群が挙がってきているため、それらの粘液型脂肪肉腫細胞における機能の検討を始めるとともに、それらの機能発現にTLS/FUSとの結合が関与しているか、あるいはTLS/FUS-CHOPの存在が正常のTLS/FUS結合lncRNAの機能発現に影響を及ぼして粘液型脂肪肉腫の発生・進展に寄与しているかどうかなどを検討していく。
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