研究課題/領域番号 |
22K09401
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中田 英二 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (10649304)
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研究分担者 |
宝田 剛志 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30377428)
尾崎 敏文 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40294459)
高尾 知佳 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (40612429)
山田 大祐 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (50733680)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 悪性骨・軟部腫瘍 / 肺転移 / 増殖 / PRRX1 / 骨肉腫 |
研究開始時の研究の概要 |
骨肉腫の20-30%は肺転移を起こし予後不良である。最近、間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell: MSC)に発現するPaired related homeobox 1 (PRRX1) という遺伝子が転移に関与すると報告されている。我々は、PRRX1の発現を抑制するとin vivoで肺転移が抑制されることを確認することにした。また、PRRX1の機能解析を行うため、PRRX1を過剰発現あるいはノックダウンさせた細胞とコントロールで発現する遺伝子をRNA sequencingを用いて比較し、遠隔転移のメカニズムの解明やPRRX1の下流シグナル経路を解析することとした。
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研究実績の概要 |
骨肉腫悪性骨・軟部腫瘍は標準治療として化学療法と手術が行われる。しかし、肺転移に対する化学療法の効果は限られ、極めて予後不良である。近年、分子標的薬が登場しているが、肺転移例の予後改善は困難で、有効な新規治療薬の開発が期待されている。転写制御因子Paired related homeobox 1(PRRX1)は、四肢骨格形成に強く関与しており、その重要性に関する報告も多い。一方で、がんの悪性化への関与も報告されており、我々は骨肉腫において、PRRX1が悪性化促進因子として機能することを明らかにした。そこで、骨肉腫など、悪性骨・軟部腫瘍におけるPRRX1の役割を解明するため、腫瘍の悪性度とPRRX1の発現量の関連性を臨床的に評価し、in vitroにおける機能解析を行った。当院にて手術を行った悪性骨・軟部腫瘍の術後検体にPRRX1の免疫染色を行い、染色強度と染色陽性細胞数から高発現群と低発現群に群分けし、PRRX1の発現とその患者の5年累積生存率、再発・肺転移との関連を評価したところ、免疫染色において、高発現群は低発現群に比べ5年累積生存率が低く、転移率が高かった。in vitroでは、レンチウイルスベクターを用いてPRRX1に対するshRNA(shPRRX1)を複数の肉腫細胞株に導入した。またPiggybac systemを用いてPRRX1をドキシサイクリン依存的に過剰発現させるヒトMPNST細胞株を樹立した。対照群(空ベクター導入群)とshPRRX1導入群間、対照群(ドキシサイクリン未処理群)とPRRX1過剰発現群(ドキシサイクリン処理群)間で増殖能、遊走能、浸潤能を比較した。またshPRRX1導入群では増殖能、遊走能、浸潤能が低下し、PRRX1過剰発現群では増殖能に変化はないが、遊走能、浸潤能が増加していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨肉腫など、悪性骨・軟部腫瘍におけるPRRX1の役割を解明するため、腫瘍の悪性度とPRRX1の発現量の関連性を臨床的に評価し、in vitroにおける機能解析を行った。当院にて手術を行った悪性骨・軟部腫瘍の術後検体にPRRX1の免疫染色を行い、染色強度と染色陽性細胞数から高発現群と低発現群に群分けし、PRRX1の発現とその患者の5年累積生存率、再発・肺転移との関連を評価した。免疫染色において、高発現群は低発現群に比べ5年累積生存率が低く、転移率が高かった。in vitroでは、レンチウイルスベクターを用いてPRRX1に対するshRNA(shPRRX1)を複数の肉腫細胞株に導入した。またPiggybac systemを用いてPRRX1をドキシサイクリン依存的に過剰発現させるヒトMPNST細胞株を樹立した。対照群(空ベクター導入群)とshPRRX1導入群間、対照群(ドキシサイクリン未処理群)とPRRX1過剰発現群(ドキシサイクリン処理群)間で増殖能、遊走能、浸潤能を比較した。またshPRRX1導入群では増殖能、遊走能、浸潤能が低下し、PRRX1過剰発現群では増殖能に変化はないが、遊走能、浸潤能が増加していることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、PRRX1の機能解析として、遠隔転移のメカニズム、シグナル経路の解析を予定している。方法として、PRRX1を過剰発現やノックダウンした細胞とコントロールから遺伝子を抽出しRNA Sequencingで発現する遺伝子を比べる。コントロールに比べ発現が増加あるいは低下している遺伝子を検討し、PRRX1の発現上昇による肺転移のメカニズムの解明やPRRX1の下流シグナル経路を解析する。 また、解析されたシグナル経路と同様の動向を示す薬剤の特定を行う。特定されたEMT のmolecular markers であるN-cadherin, E-cadherin や核内のβ-catenin とWnt/β-catenin のターゲットである c-Myc.のレベルが上昇するかを検討する。またその下流シグナルと同様の動向を示す薬剤を特定する。
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