研究課題/領域番号 |
22K09412
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
|
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
藤井 正文 金沢医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50778321)
|
研究分担者 |
川口 真史 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (60634574)
川原 範夫 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70214674)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 抗菌性部材 / フッ素添加ダイヤモンドライクカーボン / フッ素イオン / フッ素含有ダイヤモンドライクカーボン / 抗菌スペクトル / 抗菌性持続時間 / F-DLC / 抗菌性持続期間 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、安全で幅広い抗菌スペクトルを持った抗菌コーティングの開発を目指し、以前より抗菌性が報告されているフッ素添加ダイヤモンドライクカーボン(以下、F-DLC)に着目した.ISOの抗菌・安全性試験に従ったin vitroの研究を行い、黄色ブドウ球菌及び大腸菌に対し、17%以上のフッ素濃度のF-DLCに優れた抗菌性があり、30%のフッ素濃度のF-DLCでも十分な安全性があることを確認した.本研究でF-DLCのMRSA、緑膿菌、真菌への抗菌活性の有無を確認し細菌、真菌感染に対する抑制機構を解明する。また、生理食塩水内でのF-DLCからのフッ素イオンの溶出量および抗菌性の維持期間について解明する。
|
研究実績の概要 |
I.MRSA,緑膿菌,カンジダに対するフッ素添加ダイヤモンドライクカーボンの抗菌効果:フッ素濃度33%のフッ素添加ダイヤモンドライクカーボンの抗菌活性値は、MRSA、緑膿菌に対して4以上あり十分な抗菌性を示した。カンジダに関してはコロニー数のカウントが困難であり、別な評価方法を検討する必要があると判明した。 Ⅱ.フッ素溶出試験:フッ素濃度24%、33%のフッ素添加ダイヤモンドライクカーボンで実験を行った。いずれもフッ素イオンの溶出は、浸漬開始時が多く12週までに急激に減少し、36週まではフッ素イオンの溶出は確認できたが、その後は検出が不能となった。フッ素イオンの溶出は、フッ素濃度24%フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンが33%フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンに比べて、フッ素イオンの溶出が多かった。原因としてはコーティングの条件が僅かに異なったことで、33%フッ素添加ダイヤモンドライクカーボン試料のフッ素イオンの総量が減少したのではないかと考える。 Ⅲ. フッ素溶出試験後の検体での抗菌試験:フッ素濃度33%フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンで実験を行った。浸漬4週では、黄色ブドウ球菌、大腸菌に対し抗菌活性値がそれぞれ2.4、3.5と抗菌性を示したが、浸漬12週では抗菌活性値はそれぞれ2.3、0.3と大腸菌に対する抗菌性は消失していた。フッ素イオンの溶出が経時的に低下していくことが、抗菌性の消失の原因であると考えた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Ⅰ.MRSA,緑膿菌,カンジダに対するフッ素添加ダイヤモンドライクカーボンの抗菌効果:概ね終了したが、カンジダに関してはコロニー数のカウントが困難であり、今後の研究で別な評価方法を検討する。 Ⅱ.フッ素溶出試験:フッ素イオンの溶出は、フッ素濃度24%フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンが33%フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンに比べて、フッ素イオンの溶出が多い原因は基材からコーティング表面までのフッ素を含む層の厚さが予定通りのものが得られていない可能性がある。コーティングの電圧やガス濃度など条件の再設定と完成品の評価を行う必要性がある。 Ⅲ.フッ素溶出試験後の検体での抗菌試験:これまで行った予備実験の結果とは異なり、12週と比較的早い段階での抗菌性の消失を認めた。これもフッ素添加ダイヤモンドライクカーボンの層の厚さや膜内でのフッ素濃度勾配などが原因している可能性がある。条件を再設定する必要があると考えた。
|
今後の研究の推進方策 |
フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンを用いた膜の構成に関して、抗菌性を担保するためにはフッ素濃度が十分に保たれたフッ素添加ダイヤモンドライクカーボンの層が必要であるが、フッ素濃度が高いと摩擦に弱く骨内インプラントに被膜するには強度が保たれない。そこで、基材のエッチングからダイヤモンドライクカーボン膜、フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンと順番に被膜してあるが、強度を重視するあまり、フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンの層が薄くなったり、フッ素濃度勾配に問題が生じ、目論見通りの期間の十分な抗菌性が得られない場合がある。そこで、基材の表面の凹凸などを利用しながら、強度と抗菌性のいずれもが担保できる膜の条件を今一度検討するつもりである。
|