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加齢に伴う脂肪髄化は間葉系幹細胞におけるLyarの発現低下によるものである。

研究課題

研究課題/領域番号 22K09413
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分56020:整形外科学関連
研究機関長崎大学 (2023)
近畿大学 (2022)

研究代表者

小野寺 勇太  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (30510911)

研究分担者 寺村 岳士  近畿大学, 大学病院, 准教授 (40460901)
竹原 俊幸  近畿大学, 大学病院, 助教 (60580561)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード老化 / 間葉系幹細胞 / 骨髄組織 / 脂肪 / 脂肪髄 / アンチエイジング / サルコペニア / プロテオミクス / 骨髄由来間葉系幹細胞
研究開始時の研究の概要

骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSC)は骨・軟骨組織や造血・免疫の恒常性維持に重要であるが、加齢と共に幹細胞の“質”も“量”も低下する。赤色骨髄組織が黄色骨髄組織へと変化する現象は、BMMSCの脂肪細胞分化が原因とされているが詳細なメカニズムは不明である。先行研究のプロテオミクス解析から脂肪分化に関わる新たなターゲットとしてLyarを同定した。Lyarと脂肪細胞分化の連関から脂肪髄化の機構に迫る。

研究実績の概要

骨髄組織は骨・軟骨組織や造血・免疫機能の維持に重要な組織である。中でも骨髄由来間葉系幹細胞(Bone Marrow derived Mesnchymal Stem Cell : BMMSC)は骨髄の恒常性維持になくてはならない細胞の一つとして知られている。加齢に伴う骨髄組織の脂肪髄化は、高頻度に観察される現象であり、BMMSCの脂肪細胞へと分化することが一つの原因であると考えられている。しかし、加齢と共にBMMSCが脂肪細胞へと分化し脂肪髄化するという現象の詳細なメカニズムは知られていない。
研究代表者は、LC/MS/MSによるプロテオミクス解析の結果、加齢性脂肪分化を引き起こしうる分子としてLyarを同定した。Lyarは脂肪分化の強力なリプレッサーであり、強制発現により脂肪分化がほぼ完全に抑制される。一方で、Lyarの遺伝子発現を抑制することで脂肪分化は促進された。加齢マウスにおける骨髄組織、筋組織ではLyarの発現低下が認められた。また、ごく少ないサンプル数ではあるものの、ヒトの検体においても同様の遺伝子発現が確認されており、今後サンプル数を増やして検証していく予定である。このことより、加齢に伴う骨髄組織、筋組織に認められる脂肪組織の形成・蓄積の原因の一つとして、Lyarの発現低下が考えられる。Lyarの発現制御が可能となれば、骨髄組織、筋組織の加齢性脂肪分化の解決策として重要な要素であると示唆される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画初年度は、先行研究で行ったcoIP-MS解析(ショットガン解析)より、細胞増殖・分化制御因子Tak1と直接相互作用する分子としてLyarを同定した。
Lyarの抑制はBMMSCの増殖を抑制した。また、Lyarを恒常的に発現させたBMMSCを作製し、脂肪細胞へと分化誘導を行ったところ脂肪細胞分化は著しく抑制された。Pparγ、Ucp2、Apod、Fabp4/5など脂肪分化・成熟関連遺伝子の抑制がqPCRによって認められた。加齢マウスBMMSCでは、若齢マウスに比べLyarの発現が有意に低下していた。
本研究にご理解・同意頂いた患者様より採取された骨髄組織のLYARと脂肪関連遺伝子(CEBPα, FABP4, PPARγ)の遺伝子発現解析より、LYARの遺伝子発現と脂肪関連遺伝子の発現量には負の相関性が認められ、採取された骨髄・筋組織および樹立された間葉系幹細胞・筋衛星細胞の遺伝子発現解析を順次行っているところである。

今後の研究の推進方策

初年度の研究成果から骨髄組織におけるLyarと脂肪分化の関係性についてその一端が解明された。しかし、加齢に伴う組織の脂肪化は骨髄組織だけでなく筋組織でも起きる(サルコペニア)こと、さらには加齢性の筋骨連関の詳細な機序は知られていない。そこで、次年度は、プロテオミクス解析から同定したLyarの発現低下が筋組織の脂肪化を進行させる、つまりサルコペニアの進行に寄与しているのではないかと仮説を立て、筋組織においても検証をする予定である。
近年、健康寿命の維持を目的として筋骨連関の注目されている。筋組織においてもLyarの機能が解明出来れば、Lyarを制御する上流因子の特定、Lyar自身の機能
理解の一助になると考えられる。また、加齢と共に脂肪化する骨髄組織と筋組織の関係性の理解に繋がることが期待される。若齢 / 加齢マウスの筋組織を回収し、Lyarの遺伝子発現が加齢と共に低下していることを確認している。さらにFACSを用いて、筋組織から筋前駆細胞(Itga7 + / CD29 + / Lineage -)を回収し、Lyarの遺伝子発現制御が筋前駆細胞に与える影響の検討を進めている。
また、さらには投薬治療による脂肪髄化の抑制を実施すべく、加齢マウスによる条件検討を開始している。μCTによる画像解析や切片による組織学的解析を実施する予定でいる。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] LRRC15 expression indicates high level of stemness regulated by TWIST1 in mesenchymal stem cells.2023

    • 著者名/発表者名
      Kensuke Toriumi, Yuta Onodera, Toshiyuki Takehara, Tatsufumi Mori, Joe Hasei, Kanae Shigi, Natsumi Iwawaki, Toshifumi Ozaki, Masao Akagi, Mahito Nakanishi, Takeshi Teramura
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 26 号: 7 ページ: 106946-106946

    • DOI

      10.1016/j.isci.2023.106946

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Fibrinogen supports self-renewal of mesenchymal stem cells under serum-reduced condition through autophagy activation2023

    • 著者名/発表者名
      Tatsufumi Mori, Masatsugu Igarashi, Yuta Onodera, Toshiyuki Takehara, Maki Itokazu, Takeshi Teramura
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 651 ページ: 70-78

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.02.009

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Adipose-derived exosomes block muscular stem cell proliferation in aged mouse by delivering miRNA Let-7d-3p that targets transcription factor HMGA22022

    • 著者名/発表者名
      Itokazu Maki、Onodera Yuta、Mori Tatsufumi、Inoue Shinji、Yamagishi Kotaro、Moritake Akihiro、Iwawaki Natsumi、Shigi Kanae、Takehara Toshiyuki、Higashimoto Yuji、Akagi Masao、Teramura Takeshi
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 298 号: 7 ページ: 102098-102098

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2022.102098

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 核小体タンパク質Lyarは骨髄間葉系幹細胞の脂肪分化を制御する2023

    • 著者名/発表者名
      小野寺勇太
    • 学会等名
      第35回日本軟骨代謝学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 加齢に伴う乳酸の上昇は核内タンパク質Lyarの抑制を介して骨髄内間葉系幹細胞の脂肪分化を促進する2023

    • 著者名/発表者名
      小野寺勇太
    • 学会等名
      第22回日本再生医療学会総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 核小体タンパク質 Lyar は骨髄間葉系幹細胞の脂肪分化を制御する2022

    • 著者名/発表者名
      小野寺勇太
    • 学会等名
      第37回日本整形外科学会基礎学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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