研究課題/領域番号 |
22K09414
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
礒山 翔 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター 分子薬理部, 研究員 (10843394)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 肉腫 / 抗腫瘍免疫 / 増殖・生存シグナル |
研究開始時の研究の概要 |
がんは腫瘍内に免疫を抑制する環境をつくり上げることで、抗腫瘍免疫から逃避している。近年、免疫抑制機構の一つである免疫チェックポイントを標的とした治療薬が幅広い種類の癌腫で高い効果を示し注目されているが、肉腫においては効果が限定的であり、免疫チェックポイントに加えて複数のがん免疫抑制機構を標的とした複合免疫療法の開発が求められている。がんによる免疫抑制には、がん細胞の増殖・生存シグナルによる免疫関連遺伝子の発現制御が寄与していることが報告されている。本研究では、肉腫による免疫抑制における増殖・生存シグナルの役割を明らかにし、その知見に基づいた新規肉腫免疫療法を開発することを目指す。
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研究実績の概要 |
がん細胞におけるがん関連シグナルは、がん細胞の増殖・生存だけでなくケモカインや免疫チェックポイント分子のリガンドなど様々な免疫関連遺伝子の発現を制御することで免疫抑制性腫瘍微小環境の形成に寄与していることがいくつかの上皮性のがんにおいて報告されている。本研究では、骨や脂肪、筋肉に発生し免疫チェックポイント阻害薬が効きにくい肉腫におけるがん関連シグナルによる抗腫瘍免疫抑制機構を解明することを目的とし、その知見に基づいた新規肉腫免疫療法を開発することを目指す。 前年度までに、ユーイング肉腫や胞巣状軟部肉腫、骨肉腫などの肉腫細胞株において検討したWnt/βカテニンやIGF1R、PI3K、MEK経路などの内、特定のシグナル経路により免疫応答に関連する遺伝子の発現が制御されていることを見出した。そこで、それらのシグナルと免疫応答の関連を検討するため、それぞれのがん関連シグナルの鍵となる因子を標的としたTet-on-shRNAを導入したマウス肉腫細胞株を作製した。また、それらの細胞にテトラサイクリンを処理することにより、標的の各シグナル因子の発現抑制と下流へのシグナル伝達が抑制されるかどうかの検証を順次進めた。それらの細胞株を用いてがん関連シグナルを抑制した際の腫瘍内免疫細胞の変化をin vivoで調べるために、テトラサイクリンを投与することにより肉腫細胞でのみ目的のがん関連シグナルを抑制できる同系マウスの皮下移植モデルの構築を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに明らかにした免疫に関連する遺伝子の発現を制御する特定のがん関連シグナルが、実際に肉腫に対する免疫応答の抑制に寄与しているのかどうかを調べるために、がん関連シグナルを標的としたTet-on-shRNA導入細胞を作製した。それらの細胞株が目的のシグナルを抑制できるかどうかの検討およびそれらの細胞株を用いたin vivoモデルの構築も順調に進んでいることから、本研究課題はおおむね計画通りに進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
構築したTet-on-shRNA導入肉腫細胞株を皮下移植した同系マウスモデルを用いて、腫瘍細胞のがん関連シグナルを抑制した際の腫瘍内の免疫細胞の変化をRNA-seqやMulticolor Flow Cytometryなどを用いて解析し、肉腫細胞のがん関連シグナルと免疫関連遺伝子の発現および腫瘍浸潤リンパ球の数と種類、表現型の関連を詳細に解析する。また、同実験系を用いてがん関連シグナルの抑制に抗PD-1抗体や抗CTLA-4抗体を併用した際の抗腫瘍効果および腫瘍浸潤リンパ球の活性化についても検討する予定である。
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