研究課題/領域番号 |
22K09426
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
幸 博和 九州大学, 大学病院, 助教 (80805276)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 脊髄損傷 / 脊髄オルガノイド / グリア瘢痕 / オルガノイド |
研究開始時の研究の概要 |
脊髄損傷により生じた麻痺の改善目的に幹細胞やscaffoldを利用した再生医療などの様々な手法による研究がおこなわれている。申請者は、脊髄再生阻害因子であるグリア瘢痕を構成するアストロサイトが環境依存的に可逆的な形態変化を示すことに着目し、多能性幹細胞から誘導した脊髄オルガノイドを慢性期の脊髄損傷部に移植することによりグリア瘢痕周囲の環境を正常脊髄に類似させることでグリア瘢痕自体を制御し、さらに脊髄オルガノイドとホストの軸索によるシナプス形成などの損傷部脊髄の組織再生能を賦活化すことが可能かを検証していく。
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研究実績の概要 |
本研究では脊髄オルガノイドを脊髄損傷マウスモデルに移植し、グリア瘢痕周囲の環境を正常脊髄に類似させることでグリア瘢痕を制御することが可能か、また、その結果として脊髄組織再生が促進されるかを組織学的、分子生物学的手法にて検証し、慢性期脊髄損傷の新規治療法を開発することを目的として研究を行っている。 本研究で使用する脊髄オルガノイドは、IWP-2を添加せずにWntシグナルを活性化させ、さらに神経管の領域特異性を後方化する作用を増強するためにGSK3阻害薬であるCHIR99021を添加して9日間培養(Organoid-9d)することで作成し、脊髄マーカーであるHoxc8、Hoxc10を発現し、脊髄領域に相当する領域特異性を示していることを確認した。 Col1a2-GFPマウスの第10胸髄レベルの脊髄にコンピューター制御下に定量的な圧挫損傷モデルを作成した。脊髄損傷後6週経過時にグリア瘢痕が形成されたCol1a2-GFPマウスの脊髄損傷部の中心に存在する線維性瘢痕は、蛍光実態顕微鏡にてGFP陽性であり、GFP陽性の線維性瘢痕を選択的にを超音波メスにて正常脊髄を損傷しないように除去した。線維性瘢痕を除去した部位にtd Tomato陽性ES細胞由来脊髄オルガノイドを充填するように移植した。 オルガノイド移植後2週経過時の組織学的評価にて、tdTomato陽性の移植したオルガノイドは損傷部にて生着していたが、損傷部にとどまらず、正常な脊髄組織に浸潤するようにオルガノイドが増殖している組織像を認めた。さらに、下肢運動機能評価をBMSスコアにて評価したところ、オルガノイド移植群において、下肢運動機能は時間の経過とともに有意に悪化しており、移植したオルガノイドの無秩序な増殖が正常脊髄にさらなる損傷をきたしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
移植したオルガノイドの損傷脊髄部での無秩序な増殖が見られたため、オルガノイド培養プロトコールの見直しが必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
慢性期脊髄損傷部に移植したオルガノイドの無秩序な増殖が見られたため、今後は移植前にオルガノイドのWnt/β-カテニンシグナルの異常活性化を抑制するために、CHOR99021を除いた培地でさらに9日間培養を継続して損傷部へ移植するプロトコールへ変更して解析を進める予定である。
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