研究課題/領域番号 |
22K09437
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
迫田 秀行 国立医薬品食品衛生研究所, 医療機器部, 主任研究官 (50443099)
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研究分担者 |
菅野 伸彦 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教授 (70273620)
坂井 孝司 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00444539)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 人工関節 / 超高分子量ポリエチレン / 超長寿命 / 耐久性 |
研究開始時の研究の概要 |
人工関節の摺動面に使用される超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)コンポーネントを対象に、臨床使用中に発生する材料劣化の有無や程度を評価すると共に、その劣化機構を推定する。得られた知見よりUHMWPEの材料劣化を再現する試験法を開発し、推定された機構の妥当性を検証する。 この研究を通じて、①どのような場合にUHMWPEの材料劣化が生じるのか、②UHMWPEの材料劣化の原因何か、③UHMWPEの材料劣化と損傷の発生や再置換は関連しているのか、の3つの学術的問いに回答を与える。これにより、人生100年時代に応える超長寿命型インプラント材料に必須の要件を見出し、その選定や開発に寄与することを目指す。
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研究実績の概要 |
1. 高深度マイクロスラリーエロージョン法の開発と、それを用いた材料劣化の現状調査 マイクロスラリーエロージョン法による強度評価の検出感度やその特性を明らかにすることを目的に、赤外分光光度計により評価した超高分子量ポリエチレンの酸化劣化の程度や、打ち抜き試験により得られる力学特性との関係を調べる実験系を計画した。これらの試験を共通して実施可能な、厚さ0.5 mmの超高分子量ポリエチレン製シートを試験試料とし、12枚のシートを重ね合わせた状態でガンマ線照射と加速酸化処理を施すことで、酸化劣化の程度が異なる試料を作製した。 2. 材料劣化機構の解明 今年度は、新たに抜去インプラント2例、関節液1例を入手した。入手済みの症例も含め、4例について、肉眼観察等の分析を行った。親水性表面修飾が施された超高分子量ポリエチレン製コンポーネントを対象に、修飾の残存状況や摩耗の程度について検証した。接触角測定の結果、親水性表面修飾は、摺動面のほぼ全面で剥離しているものと推定された。一方、再溶融処理により塑性変形を回復させた後、表面観察を行ったところ、摺動面のほとんどの領域で機械加工痕が観察されたことから、摩耗量は限定的であると考えられた。 関節液17例と、抜去超高分子量ポリエチレンコンポーネント24例からの抽出物に含まれるスクアレンを、液体クロマトグラフィー高分解能質量分析装置により定量した。その結果、関節液と抽出物のいずれにおいても、スクアレンの存在量はごくわずかであることが確認され、スクアレンを用いた超高分子量ポリエチレンの安定性試験法の規格の妥当性について、疑問が生じることとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
マイクロスラリーエロージョン法の感度について、検証が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
1. 高深度マイクロスラリーエロージョン法の開発と、それを用いた材料劣化の現状調査 マイクロスラリーエロージョン法の感度を検証する。
2. 材料劣化機構の解明 臨床を模擬した状況では、超高分子量ポリエチレンの材料劣化は生じない可能性についても、検討を進める。
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