研究課題/領域番号 |
22K09438
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
徳田 治彦 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 ジェロサイエンス研究センター, 部長 (10397325)
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研究分担者 |
小澤 修 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90225417)
西脇 理英 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90734202)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 骨芽細胞 / 骨マクロファージ / oncostatin M / bFGF / osteoprotegerin / M-CSF / TNF-α M-CSF / ケモカイン / 細胞移動 |
研究開始時の研究の概要 |
骨代謝は破骨細胞と骨芽細胞により営まれ(骨リモデリング)、骨強度が維持される。骨リモデリングの破綻は骨粗鬆症および骨折治癒遅延の原因となる。最近、骨表面の骨マクロファージ が産生するoncostatin Mの骨損傷治癒促進への関与が報告された。一方、骨マクロファージ分化を制御するM-CSFを骨芽細胞が産生することが明らかにされ、相互的機能調節が骨リモデリング制御に重要な役割を果たすと考えられる。本研究では、培養骨芽細胞を用いて、細胞移動等の骨芽細胞機能への骨マクロファージからの影響を解析することにより、骨マクロファージによる骨代謝・骨リモデリング制御機構、特に骨芽細胞との相互作用を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究は、マクロファージ(MΦ)により産生されるoncostatin M(OSM)などサイトカインの骨芽細胞機能に及ぼす影響を解析し、骨MΦによる骨リモデリング制御機構、特に骨芽細胞との相互作用を解明するものである。本年度は、骨芽細胞におけるbasic fibroblast growth factor (bFGF)刺激により惹起されるosteoprotegerin(OPG)産生およびmacrophage colony-stimulating factor (M-CSF)産生に対するOSMの作用を検討した。結果として、①OSMはbFGF刺激に対するOPG遊離およびmRNA発現を増強すること②OSMはbFGF刺激に対するM-CSF遊離およびmRNA発現を抑制すること③p38 mitogen-activated protein kinase(MAPK)の阻害剤であるSB203580およびstress-activated protein kinase/c-Jun N-terminal kinase (SAPK/JNK)の阻害剤であるSP600125はbFGF刺激に対するM-CSF遊離を抑制するが、MEK1の阻害剤であるPD98059は何ら影響しないこと④OSMはbFGF刺激に対するp38 MAPKのリン酸化を増強するが、SAPK/JNKのリン酸化を抑制すること、p44/p42 MAPKのリン酸化に何ら影響しないこと⑤SB203580はbFGF刺激に対するM-CSF遊離のOSMによる増強を抑制することを明らかとした。以上より、bFGF刺激による骨芽細胞の活性化に対するOSMの作用は二相性、即ちp38 MAPK活性の増強とSAPK/JNK活性の抑制を示すが、この作用を介し、それぞれOPG産生の増強とM-CSF産生の抑制をすると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨芽細胞において、主に骨MΦに由来するOSMがbFGF刺激に対するOPG産生を増強する一方、M-CSF産生を抑制することを示した。OPGは、骨芽細胞上に発現するreceptor activator of nuclear factor-κB (NF-κB) ligand (RANKL)のdecoy 受容体として作用し、前駆破骨細胞に発現するRANKの活性化を遮断することにより破骨細胞の成熟化を抑制する。一方、M-CSFは単球系幹細胞から破骨細胞への分化誘導に必須のサイトカインである。従って、OSMは骨リモデリングサイクルを骨吸収から骨形成にスイッチさせる作用を有すると考えられる。昨年度に明らかとしたtumor necrosis factor-αに対するM-CSF産生の抑制作用とともに、今回の知見は骨リモデリング制御におけるOSMの重要性を強く示唆するもので、代謝性骨疾患の新たな治療戦略の一助となる。
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今後の研究の推進方策 |
骨芽細胞において、骨リモデリング過程で機能している各種生理活性物質刺激により惹起されるインターロイキン-6産生、OPG産生および細胞遊走等の細胞機能に対するOSMの作用について、細胞内情報伝達経路との関連を含めた詳細な検討を継続する。
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