研究課題/領域番号 |
22K09448
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
中根 裕信 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (10304205)
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研究分担者 |
小山 友香 鳥取大学, 医学部, 助教 (30827572)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | SIRT1 / Xpaマウス / 造精機能障害 / NAD+ |
研究開始時の研究の概要 |
少子化の点からも男性不妊の新規で安全な治療法が求められている。我々は、DNA修復欠損マウス(Xpaマウス)精巣が、老化促進の症状で造精障害(精子形成ができず不妊)となることを示した。また、A群色素性乾皮症の患者細胞(Xpa欠損)でNAD+が枯渇し、抗老化遺伝子サーチュイン1(Sirt1)の発現が低下し変性する病態がわかった。本研究は、NAD+の代謝産物を補いNAD+を増加させ、Sirt1発現を維持することで、Xpaマウス精巣の変性が抑制されるか否かを調べる。男性不妊患者でも同様の病態と考えられ、本研究は、造精機能障害の新病態に基づく治療を行うことで、造精障害の治療法の開発に貢献するだろう。
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研究実績の概要 |
少子化の点でも、男性不妊に対する新たな治療法が求められている。 色素性乾皮症(Xeroderma pigmentosum)は、DNA修復(ヌクレオチド除去修復)に異常をもち、皮膚癌発生・精神神経症状・精巣発育不全を臨床的特徴とする遺伝疾患である。我々は、A群色素性乾皮症遺伝子(Xpa遺伝子)を欠くXpa遺伝子欠損マウス(Xpaマウス)の解析から、同マウスが加齢により造精障害となること、その精巣変性がオートファジー誘導によることを示した(Nakane et al, 2020)。最近、A群XP患者細胞が、NAD+減少によって抗老化遺伝子サーチュイン1(Sirt1)の発現が低下し、オートファジーが亢進する病態が明らかになった。本研究は、内在性生理物質であるNAD+の中間代謝産物(NAD+中間体)を補って、Sirt1発現を維持することで、Xpaマウス精巣のオートファジー誘導及び精巣変性が抑制されるか否かを調べる。ヒト男性不妊患者の精巣でXpa遺伝子の発現低下を示す報告があり、我々はヒト男性不妊患者でXpaマウス精巣と同様の病態であるとの仮説を持つに至った。本研究は、造精障害の新病態に基づく治療を検証し、治療法の開発を目的とする。また、XpaマウスとLC3(オートファゴゾームに特異的発現)を過剰発現するトランスジェニックマウスを掛け合わせたオートファジー・モニターマウス(Xpa-LC3)は、Xpaマウスより早期に精巣病変を生じるためNAD+中間体の評価系として用いおり、同マウス精巣での組織形態学的・網羅的解析を実施・解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年、代表者の所属施設の異動があり、マウスの飼育環境が変化したため、Xpa-LC3マウス(オートファジー・モニターマウス)の繁殖・系の確立に時間がかかっているが、ようやく、マウス・コロニーができつつある。Xpa(-/-)-LC3マウス精巣病変の系を用いて、最適な実験条件(投与時期,NAD+中間体の投与量等)を検討したところ、予備実験からNAD+中間体の作用を確認できる最適条件を見いだしつつある。
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今後の研究の推進方策 |
Xpa-LC3マウスを用い、精巣の造精障害およびオートファジーの状態をモニターし、NAD+中間体の投与による効果を調べ、その分子メカニズムの解析を行うために、以下の実験を行う。本年の実験の結果(上記)を、マウス数を増やし追試・確認する。さらに定量的にWB、Realtime-PCRおよび網羅的解析等でSirt1の発現、NAD+系、オートファジー・ミトコンドリア等の関連蛋白質を検索することで、NAD+中間体によるXpa(Xpa-LC3)マウス精巣への効果を確認する。最近、NAD+中間体によるin vivoでの各臓器への作用は、多様であることが明らかになりつつあり、それらを参考に、特に造精機能に関わる因子(男性不妊に関わる因子等)に着目し評価していく予定である。これらの実験によって得られた知見は、造精機能障害の新たな治療法の開発に役立つと考える。
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