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シングルセル解析による腫瘍微小環境を介した前立腺神経内分泌腫瘍発生機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K09449
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分56030:泌尿器科学関連
研究機関愛媛大学

研究代表者

渡辺 隆太  愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (00813635)

研究分担者 雑賀 隆史  愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (10314676)
東山 繁樹  愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (60202272)
菊川 忠彦  愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (70444734)
三浦 徳宣  愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (80554427)
沢田 雄一郎  独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター), その他部局等, 医師 (80793554)
研究期間 (年度) 2022-11-15 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード神経内分泌前立腺癌 / 空間的遺伝子発現解析 / シングルセル解析 / IDCP / 前立腺癌 / 神経内分泌分化 / 遺伝子解析
研究開始時の研究の概要

神経内分泌前立腺癌は、急速に進行する予後不良な疾患である。前立腺癌治療過程で発生する治療誘引型神経内分泌前立腺癌 (t-NEPC) が報告され、抗アンドロゲン療法 (ADT) により通常の腺癌 (ARPC) がNEPCに転換する可能性が提唱されている。しかし、前立腺癌のheterogenousな特性上、従来のbulk法ではその複雑性・不均質性を十分に解明できなかった。神経内分泌前立腺癌の遺伝的特徴を1細胞レベルで詳細に解析することで、神経内分泌分化のメカニズムを解明し、治療成績を向上させることが期待される。

研究実績の概要

申請者は約3500例に及ぶ愛媛県下前立腺全摘術の治療成績および予後因子に関する多施設データベースMICAN Studyを有している。このデータベースから高悪性度の前立腺癌である神経内分泌前立腺癌を抽出し、そのFFPE(ホルマリン固定パラフィン包埋)検体を用いて空間的遺伝子発現解析を行い、悪性化に関わるドライバー遺伝子を同定した。空間的遺伝子発現解析とは、全mRNAに基づいて組織を分類できる分子技術であり、組織に含まれる全ての発現遺伝子を同時に観察でき、組織のどこで何の遺伝子が発現していたかをスライド上で可視化できる。この手法は、不均一性を特徴とする前立腺癌組織において特に有用な手法である。Visiumを導入することで、これまで新鮮組織やマウス・細胞株でしか行えなかったシングルセル解析をアーカイブ標本で行うことができる。
ARPC・de novo NEPC併存の非常に稀な症例に対して、空間的遺伝子発現技術を導入し、de novo NEPCの特徴的な遺伝子異常を解析した。その結果、Rbfox3やSFRTM2のDownregulationや腫瘍微小環境におけるHGF, HMOX1, ELNやGREM1のUpregulationを明らかにし、報告した。本報告論文は、FFPEに対して空間的遺伝子発現解析を行った(CytAssist Visium)本邦初めての報告となり、The top view papers in IJMS 2023に選出された。
また、典型的なIDCP(Intraductal Carcinoma of the Prostate)症例の空間的遺伝子発現解析を行い、特徴的な遺伝子発現を同定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前立腺癌細胞株をアンドロゲン除去下で培養し、神経内分泌マーカー陽性となった株を樹立したが、細胞の増殖が極めて悪く、シングルセル解析に進めることはできていない。
一方で、空間的遺伝子発現解析の手法を用いたde novo NEPCとARPCの発現遺伝子の比較や、IDCP(Intraductal Carcinome of the Prostate)特異的遺伝子発現解析は非常に順調に進んでいる。今後シングルセル解析の手法や高解像度空間的遺伝子発現解析を導入することでより詳細な解析を進めたい。

今後の研究の推進方策

空間的遺伝子発現解析の技術を用いて、NEPCやIDCP特異的な遺伝子異常を探索することに成功した。しかし、空間的遺伝子発現解析はドットベースの解析であり、1つのドットに複数の細胞が含まれることから、純粋なシングルセル解析とは言えず、ドット内に腫瘍細胞と腫瘍微小環境の細胞が混在しているというデメリットがあった。この点を克服するために、申請者は、複数のサンプルによるシングルセル解析と空間的遺伝子発現解析のデータの統合や、シングルセルレベルの高解像度空間的遺伝子発現解析、またNEPC/IDCPオルガノイド樹立による研究手法で、腫瘍微小環境を介したより詳細なNEPC/IDCPの病態解明を目指す。
神経内分泌前立腺癌、Intraductal Carcinoma of the Prostate(IDCP)の組織サンプルあるいは細胞株由来のサンプルを用いて、Flex Single Cell RNA seq を実行する。Flex Single Cell RNA seqは、最新のシングルセル手法で、手術検体を摘出直後に専用のプロトコールで固定しシングルセル化することで、人為的なシグナル変化を最小限にでき、全ポピュレーションが失われることなく網羅的に1細胞レベルのRNAシークエンスを行うことができる手法である。
Single Cell RNA seq dataを空間的遺伝子発現解析データと統合することで、1細胞レベルで空間的情報を有した解析ができるようになり、NEPC/IDCPの詳細なメカニズム解析が可能となる。
また、NEPC/IDCP組織からオルガノイドを樹立する。オルガノイドは薬剤抵抗性・浸潤・転移に重要な役割を果たすと言われている腫瘍微小環境の細胞を含んでいることから、シングルセル解析技術により微小環境の1細胞にも着目して解析することでNEPC/IDCPのメカニズム解明に重要なツールとなる。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (21件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] Fred Hutchinson Cancer Center(米国)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] Fred Hutchinson Cancer Center(米国)

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] 神経内分泌前立腺癌のシングルセル解析と農学分野への応用の可能性2024

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太、雑賀隆史
    • 雑誌名

      アグリバイオ

      巻: 8 (2) ページ: 173-177

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Spatial Gene Expression Analysis Reveals Characteristic Gene Expression Patterns of De Novo Neuroendocrine Prostate Cancer Coexisting with Androgen Receptor Pathway Prostate Cancer2023

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Ryuta、Miura Noriyoshi、Kurata Mie、Kitazawa Riko、Kikugawa Tadahiko、Saika Takashi
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 24 号: 10 ページ: 8955-8955

    • DOI

      10.3390/ijms24108955

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 神経内分泌前立腺癌の理解を目指したシングルセル解析の応用2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太、雑賀隆史
    • 雑誌名

      38 (14)

      巻: 38 (14) ページ: 1238-1241

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] IDCP症例における遺伝子異常の解析2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太、塩出涼 、鈴木大一郎 、信森祥太、杉原直哉、山川真季、佐伯佳央里、河野玲奈 、新井欧介、大西智也、角田俊雄、野田輝乙、西村謙一、福本哲也、三浦徳宣、倉田美恵、宮内勇貴、北澤理子、Michael C Haffner、菊川忠彦、雑賀隆史
    • 雑誌名

      泌尿器外科

      巻: 36(8) ページ: 939-941

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] シングルセル解析による前立腺癌神経内分泌分化機序解明2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太、雑賀隆史
    • 雑誌名

      細胞

      巻: 55 (7) ページ: 389-391

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 愛媛大学における神経内分泌前立腺癌の治療経験と病理学的考察 (総説)2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太
    • 雑誌名

      泌尿器外科

      巻: 35 (8) ページ: 894-896

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 空間的遺伝子発現解析を用いた de novo神経内分泌前立腺癌における遺伝子発現パターンの探索2024

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太
    • 学会等名
      泌尿器科分子細胞研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 愛媛大学における前立腺癌研究の黎明と展望2024

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太
    • 学会等名
      2024年がん関連3学会Rising star ネットワーキング
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Detection of intraductal carcinoma of the prostate (IDCP) cases focusing on high-grade prostatic intraepithelial neoplasia (PIN) findings regarding invasive carcinoma of the prostate.2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太
    • 学会等名
      ASCO-GU23(米国臨床腫瘍学会泌尿器癌シンポジウム)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Detection of intraductal carcinoma of the prostate (IDCP) cases focusing on high-grade prostatic intraepithelial neoplasia (PIN) findings regarding invasive carcinoma of the prostate.2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太
    • 学会等名
      EAU23(欧州泌尿器科学会)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Detection of intraductal carcinoma of the prostate (IDCP) cases focusing on high-grade prostatic intraepithelial neoplasia (PIN) findings regarding invasive carcinoma of the prostate.2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太
    • 学会等名
      AACR23 (米国癌学会学会)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] IDCPを深堀する2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太
    • 学会等名
      前立腺シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Detection of intraductal carcinoma of the prostate (IDCP) cases focusing on high-grade prostaticintraepithelial neoplasia (PIN) findings regarding invasive carcinoma of the prostate2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太
    • 学会等名
      ASCO-GU(アメリカ臨床腫瘍学会-泌尿器がんシンポジウム)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Detection of intraductal carcinoma of the prostate (IDCP) cases focusing on high-grade prostaticintraepithelial neoplasia (PIN) findings regarding invasive carcinoma of the prostate2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太
    • 学会等名
      EAU(欧州泌尿器科学会)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Detection of intraductal carcinoma of the prostate (IDCP) cases focusing on high-grade prostaticintraepithelial neoplasia (PIN) findings regarding invasive carcinoma of the prostate2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太
    • 学会等名
      AACR(米国腫瘍学会)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 浸潤癌を背景とするHigh Grade PIN所見に着目したIDCP症例の検索2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太
    • 学会等名
      日本泌尿器腫瘍学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 治療誘因型神経内分泌前立腺癌における ERG発現の検討2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太
    • 学会等名
      西日本泌尿器科学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] IDCP症例における遺伝子異常の解析2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太
    • 学会等名
      前立腺シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [図書] 『仕掛けなければ,何も生まれない』 コネなし臨床医の研究留学挑戦録2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺隆太
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      実験医学
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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