研究課題/領域番号 |
22K09465
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
土谷 順彦 山形大学, 医学部, 教授 (70282176)
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研究分担者 |
内藤 整 山形大学, 医学部, 講師 (00431643)
成澤 貴史 山形大学, 医学部, 助教 (20594328)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 尿路上皮癌 / メタボローム / メタボタイプ / メタボロミクス |
研究開始時の研究の概要 |
進行性または転移性尿路上皮癌に対する薬物療法として、シスプラチンを中心とする抗癌化学療法が行われてきた。最近、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)やICIと抗癌剤の併用療法による治療効果の向上が期待されているが、効果を予測する有用なバイオマーカーはない。一方、尿路上皮癌の分子サブタイプと化学療法やI-O療法への反応性の間には密接な関連が示唆されているものの、煩雑性やコストの面から臨床利用に至っていない。 本研究では、尿路上皮癌のメタボローム解析によるメタボタイプを同定し、シスプラチン耐性との関連とその機序の解明、さらに耐性克服のための標的分子を探索しようとするものである。
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研究実績の概要 |
4つの尿路上皮癌細胞株(T24、RT4、HT1376、ScabER)について、メタボタイプ分類を試みた結果、これらの細胞株はそれぞれ特徴的な代謝物のパターンを示すことが明らかになった。ランダムフォレストを用いた分類モデルにおいて、15代謝物が重要な特徴量として特定され、さらに平均減少精度に基づく特徴量の重要度の評価において、5代謝物が特定された。RT4(Luminalサブタイプ)では、5-Oxoproline-2、3-Methyl-2-oxovaleric acid、Glycine-3TMSは高濃度で、N-Acetylaspartateと5-Aminovaleric acidは低濃度であった。一方、HT1376(Basal/squamousサブタイプ)はRT4と補完的な代謝物濃度のパターンを示した。T24(p53-likeサブタイプ)は、RT4とHT1376の中間的な代謝物濃度のパターンを示し、ScaBER(Basal/squamousサブタイプ)はこれらの濃度は全て低値であった。15代謝物を用いたメタボローム分類モデルは、ScaBERの1サンプルがT24に分類されたのみで(1/3、33%)それ以外は正確に分類された。代謝物の機能別にみると、RT4では糖代謝、脂質代謝、アミノ酸代謝に関連する代謝物の多くが高濃度を示したのに対し、HT1376はN-Acetylaspartic acid-3TMSと5-Aminovalericacidが高濃度を示した。その他、特徴的な代謝物はGlycyl-Glycineで、T24に特徴的に高濃度に存在していた。以上から、従来の分子サブタイプを代表する細胞株においてメタボタイプの特徴が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
尿路上皮癌細胞株のメタボローム解析は終了しており、それらのデータに基づいて機械学習による種々の分類モデルを用いたメタボタイプ分類が行われ既に結果が得られている。一方、正酸素と低酸素環境での培養については、低酸素培養による細胞実験の進捗が遅れており、まだメタボローム解析が行えていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、2023年度の実施を予定していた臨床検体を用いた臨床病理学的因子とメタボタイプ分類の準備を行っている。低酸素培養による細胞実験の進捗の遅れについては、2023年度に継続して実施を予定している。また、細胞培養が困難な場合のために、当初の計画に加えて臨床検体に対してp53、GATA-3、CK20、CK5/6による免疫染色を考慮している。現在、臨床検体の薄切を行っており、従来の計画と並行して免疫染色を行い、タンパク発現による分子サブタイプを同定し、メタボタイプとの比較を行うことを計画している。
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