研究課題/領域番号 |
22K09466
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
神鳥 周也 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50707825)
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研究分担者 |
木村 友和 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (10633191)
西山 博之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20324642)
船越 祐司 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30415286)
志賀 正宣 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (60840551)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 膀胱癌 / 尿路上皮癌 / がん免疫微小環境 / イムノメタボリズム / がん微小環境 / ホスホリパーゼD |
研究開始時の研究の概要 |
膀胱がん微小環境におけるイムノメタボリズムを標的とするがん複合免疫療法開発の基盤を構築することを目的とし、PLDに着目して研究を行う。膀胱正所性モデルによるPLD1/PLD2-KOマウスの腫瘍形成能の比較を行い、その腫瘍組織のトランスクリプトーム解析を行う。トランスクリプトーム解析の結果に基づき、免疫細胞におけるPLDアイソザイム別の機能解析を行う。さらに、膀胱癌で臨床応用されているPD-1抗体とPLD阻害剤併用療法の抗腫瘍効果の評価することで、イムノメタボリズムを標的とするがん複合免疫療法の可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
膀胱がん微小環境ががんの進展や治療奏効性に影響を及ぼす重要な因子であり、がん免疫療法に対する抵抗性獲得に寄与することが明らかとなってきた。本研究で着目するホスホリパーゼD(PLD)はホスファチジルコリンを加水分解して、ホスファチジン酸(PA)を産生するリン脂質代謝酵素であり、PAは脂質性シグナル伝達分子として多彩な生理機能を有している。予備実験としてPLD1/PLD2-KOマウスにおけるBBN膀胱発がん実験を行った。興味深いことに、PLD1-KOマウスでは発がんが抑制され、PLD2-KOマウスでは促進された。この結果から、膀胱がんにおいてPLD1とPLD2のがん免疫微小環境における役割が異なることが示唆された。そこで、PLDによるイムノメタボリズムに基づく、がん免疫微小環境への影響を明らかにし、新たながん複合免疫療法の開発への基盤を構築することを目的とした。 マウス膀胱がん細胞株MB49による皮下移植モデルにおいても同様にPLD2-KOマウスでは腫瘍形成が促進された。BBN膀胱発がんモデルにおける腫瘍組織を用いてRNAシークエンスを実施した。パスウェイ解析では、PLD2-KOマウスではMSP-RON Signaling in Macrophages Pathway、S100 Family Signaling Pathwayが亢進しており、その発がん過程において腫瘍関連マクロファージ(TAM)や骨髄由来抑制細胞が関与している可能性が示唆された。皮下移植モデルにおける腫瘍組織では、PLD2-KOによりFACSでTAMの増加を認めた。さらにマウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)を回収し、M-CSFおよびMB49の培地上清を添加によりBMDM-TAMを樹立した。PLD-2-KOマウスより作成したBMDM-TAMはPLD2-WTと比較して増殖能が亢進していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス膀胱がん細胞株MB49による皮下移植モデルにおいて、BBN膀胱発がんモデルと同様にPLD2-KOマウスでは腫瘍形成が促進されることが明らかとになった。BBN膀胱発がんモデルにおける16週時点の腫瘍組織を用いてRNAシークエンスを実施した。PLD2-WTマウスとPLD2-KOマウスにおける変動遺伝子を抽出し、パスウェイ解析を行ったところ、PLD2-KOマウスではMSP-RON Signaling in Macrophages Pathway、S100 Family Signaling Pathwayが亢進しており、その発がん過程において腫瘍関連マクロファージ(TAM)や骨髄由来抑制細胞(MDSC)が関与している可能性が示唆された。さらに、皮下移植モデルにおける腫瘍組織を用いてFACSでTAMとMDSCの評価を行った。PLD2-KOマウスでは、PLD2-WTマウスと比較して腫瘍内のTAMの増加を認めたが、MDSCは差を認めなかった。さらにマウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)を回収し、M-CSFおよびMB49の培地上清を添加によりBMDM-TAMを樹立した。PLD-2-KOマウスより作成したBMDM-TAMはPLD2-WTと比較して増殖能が亢進していることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
BBN膀胱発がんモデルにおける膀胱組織を用いて免疫化学染色を行い、腫瘍内を構成する免疫細胞の評価を行い、PLD2-KOマウスにおけるがん微小免疫環境の全体像を把握する。併せて同組織で実施しているRNAシークエンスの結果から、デジタルサイトメトリーを行い、免疫化学染色の結果との比較を行う。また、皮下移植モデルにおける腫瘍組織からPLD2-WTとPLD2-KOのTAMを分離し、RNAシークエンスを行う。さらに、PLD2-WTとPLD2-KOマウスから骨髄由来マクロファージ(BMDM)から樹立したTAMを用いて、RNAシークエンスを行う。これらのトランスクリプトーム解析によりPLD2-WTとPLD2-KOのTAMとしての機能の差異を検討する。特にサイトカイン関連遺伝子の変化に着目し、RNAシークエンスの結果からin vitroでのサイトカイン分泌能の評価をELISA等で実施する予定である。
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