研究課題/領域番号 |
22K09467
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
冨田 善彦 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (90237123)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 腎細胞癌 / オルガノイド / 免疫チェックポイント阻害薬 / 分子標的薬 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は腎細胞癌について原発巣からのオルガノイドの作成を行い、以下の点について検討する。 1)オルガノイドによる感受性試験系の確立とオルガノイドの分子標的薬、免疫原性にかかるプロファイリング 2)分子標的薬に対する感受性の検討 3)オルガノイド感受性試験と臨床での治療効果の解析 感受性検査結果と臨床効果が合致する可能性が高いと想定しているが、エクソーム解析の結果から明らかなように、差異も存在するのでオルガノイドでの試験結果と臨床での結果が乖離した場合には、原発腫瘍組織とオルガノイドの分子生物学的、免疫学的な差異を検討することで新たな効果規定因子を明らかにすることを目的としている。
|
研究実績の概要 |
我々はこれまでに23例の腎癌オルガノイドを作成に成功した。まず、培養初期において21例でオルガノイドの成長を認めた(成功率としては90%以上となる)。このうち、15例で継代培養を試みた。その結果、5回以上の継代培養が可能であった検体は5例であった。このことから、長期継代が可能だったのは全体の21.7%にとどまることになる。このうち、薬剤感受性試験を施行かのうであったものものは4例であった。 実臨床の治療との関係では、まず、術前治療が行われたものは3例であり、それぞれipilimumab + nivolumab併用療法、axitinib、pembrolizumab + axitinib併用療法もよる治療であった。術後に全身薬物療法導入が行われたのは4例で、それぞれインターフェロンα、ipilimumab + nivolumab併用療法、axitinib、pazopanibであった。 オルガノイドに対する薬剤感受性試験を施行した4例のうち、2例は実臨床上の術後再発なく(追加治療なく)経過している。残り2例はそれぞれ、免疫チェックポイント阻害剤併用療法であるipilimumab + nivolumabが投与された症例、axitinib/ nivolumab/ sunitinib/ sorafenibの逐次療法が施行された症例であった。 現在、さらなる症例蓄積のため、現在は10例の腎癌検体を凍結保存しており、2024年度にこれらの凍結保存標本より、オルガノイドを作成する予定である。これら症例の実臨床の経過においては、全10例中7例は再発なく経過し、2例は転移再発に対してipilimumab + nivolumab併用療法による治療が行われ、1例でsorafenib /nivolumab併用療法がおこなわれた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オルガノイド作成症例数を重ねてきており、臨床経過のデータについてもほぼ順調に集積している。ただ、腎癌検体が採取可能であった症例の中で、実際に治療薬が投与されたなかった症例症例も少なくなく、さらに症例数の蓄積が必要である。
|
今後の研究の推進方策 |
凍結検体からのオルガノイド作成が、細胞増殖効率や継代へ与える影響も鑑みると同時に、臨床での治療反応とオルガノイドの薬剤感受性の関連を引き続き調査していく。長期継代を改善する因子を検討し、安定した継代が可能となるように今後の課題とする。
|