研究課題/領域番号 |
22K09473
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
石井 亜矢乃 岡山大学, 大学病院, 准教授 (00423294)
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研究分担者 |
岩田 健宏 岡山大学, 大学病院, 助教 (00803082)
村上 圭史 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10335804)
狩山 玲子 岡山学院大学, 人間生活学部, 教授 (40112148)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 反復性膀胱炎 / 腸内細菌叢 / 栄養食事指導 / 次世代シーケンサー / バイオフィルム / 栄養指導 |
研究開始時の研究の概要 |
反復性膀胱炎患者に対して腸内環境を整えるための栄養指導を行うことで、免疫力向上を図ると共に腸内細菌叢を改善し、ビフィズス菌や乳酸菌等の比率が増加することに伴い、尿路感染症の起因菌となる大腸菌の比率を減少させることで反復性膀胱炎の再発率を抑制することができるかを検討する。実験研究では、反復性膀胱炎患者等から分離された大腸菌の病原因子と抗菌薬抵抗性を評価することで病原性の高い大腸菌を見出し、抗バイオフィルム効果に関する検討を重ねる。以上の臨床的・基礎的研究により新たな予防法と治療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
1. 2023年度も健常者と非反復性膀胱炎患者および反復性膀胱炎患者の膣・腸内細菌叢について次世代シーケンサーによる解析を行うために臨床研究を行った。反復性膀胱炎患者7例で膣・直腸サンプルの全ゲノム配列を次世代シーケンサーにより決定し細菌叢の解析を行った。解析結果を上位から3つずつ示すと、直腸ではBacteroides属、Faecalibacterium属、Prevotella属、膣ではBifidobacterium属、Lactobacillus属、Escherichia属であった。 2. 反復性膀胱炎患者に対する新たな臨床研究で用いる食事調査法の検討を継続しており、2023年度は患者の食生活状況把握に用いる食事調査の項目について、具体的な検討を行った。食事調査は習慣的な食事を把握できるBDHQ(簡易型自記式食事暦法質問票)とそれでは把握しきれない腸内細菌叢改善に関係する食品等の摂取状況、特にプロバイオティクス、プレバイオティクス観点から発酵食品と発酵性食物繊維含有食品の摂取状況(計23項目)を主要な追加調査項目として取り上げることにした。 3. 反復性膀胱炎患者、非反復性膀胱炎患者、非膀胱炎患者由来株の大腸菌を用いて、病原遺伝子の保有状況をmultiplex PCRで検討した。各群での保有状況に大きな違いは認めなかった。セファマイシン系抗菌薬のセフォキシチンに対する最小発育濃度(MIC)についても差は認めなかった。96ウェル平底プレート底面に細菌を付着させ、付着菌の最小発育濃度(MICAD)と最小殺菌濃度(MBCAD)を測定し、MBCAD/MICADを検討したところ、反復性膀胱炎患者由来株ではセフォキシチンに対し16の株が最も多く、他の群では60%が4であり、反復性膀胱炎患者由来株ではセフォキシチンに対し抗菌薬抵抗性を有していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
健常者、非反復性膀胱炎患者、反復性膀胱炎患者での膣・腸内細菌叢についての臨床研究はおおむね順調に進んでいる。2023年度は反復性膀胱炎患者に栄養食事指導を行い、その前後の膣・腸内細菌叢の変動を次世代シーケンサーによる解析結果に基づいて検討する新たな臨床研究について申請する予定であったが、まだ申請できていない。栄養食事指導時に使用する食事調査法についてさらなる検討を重ねた。 in vitro実験は、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1. 2023年度に行った閉経後女性における反復性膀胱炎患者と非反復性膀胱炎患者および健常者との膣・腸内細菌叢の比較検討の臨床研究は、引き続き2024年度も継続し、次世代シーケンサーにより得られたデータ(全ゲノム配列)を解析する。 2. 2024年度は、反復性膀胱炎患者に栄養食事指導を行い、その前後の膣・腸内細菌叢の変動を次世代シーケンサーによる解析結果に基づいて検討する新たな臨床研究を立ち上げる。 3. in vitro実験系を用いて、セフォキシチンだけでなく、カルバペネム系のメロペネムなど、他の抗菌薬に対する抗菌薬抵抗性についても検討を行う。また、バイオフィルム形成能については、培地の種類、培養温度、ペグバイオフィルム、フローセルバイオフィルム系など様々な条件で検討を行い、反復性膀胱炎の原因となる病原因子については検討を継続する。非反復性膀胱炎患者由来株、非膀胱炎患者由来株の大腸菌については、菌株数をさらに増やして検討する。さらに、全ゲノムシークエンスの結果も参考にして、抗菌薬抵抗性や反復性膀胱炎に関連する病原因子に繋がる遺伝子についても検討する。
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