研究課題/領域番号 |
22K09488
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
住友 誠 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50255535)
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研究分担者 |
佐谷 秀行 藤田医科大学, がん医療研究センター, センター長 (80264282)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 腎細胞癌 / ネオアンチゲン / 構造多型 / long-read解析 / 免疫チェックポイント / チロシンキナーゼ阻害薬 / short-read解析 / copy number gain |
研究開始時の研究の概要 |
転移性腎細胞がん(mRCC)の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)に対する治療効果は比較的良好である。一方で、従来のがんゲノム解析ではmRCCの腫瘍変異負荷(TMB)は低値であることが多く、免疫原性の高さが実証されていない。我々は、従来の次世代シークエンサー(NGS)によるshort-read sequenceでは見逃されている大きな構造多型などのゲノム異常をナノポアシークエンサーによるlong-read解析によってmRCCの薬物治療感受性や予後と相関するマーカーや治療標的としてのネオアンチゲンを同定することを試みる。本研究により、mRCCに対する新規診断・治療の体系を確立することが可能になる。
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研究実績の概要 |
我々は、従来の次世代シークエンサー(NGS)によるshort-read sequenceでは見逃されている大きな構造多型(Structural variant, SV)などのゲノム異常を新たに検出することで、治療標的の探索が可能になるという仮説のもと、ナノポアシークエンサーによるlong-read解析によってmRCCの薬物治療感受性や予後と相関するマーカーや治療標的としてのネオアンチゲンの同定を行うことを目的として研究を行った。 1.5種のヒトRCC細胞株786O, 769P, ACHN, A498, Caki-1を対象に、GridIONを用いたlong-read解析を施行し、データの信頼性を確認するための準備として、RCC株を対象としてPacBio sequenceを用いた解析との比較検討を行い、データの互換性を検証した。この実験系では、第17番染色体上のBRCA1遺伝子の広範囲な遺伝子欠損を伴うSVを同定したが、本手法の客観性を確認できておらず、現在も検証を継続中である。 2.RCC細胞株を用いたNGSによるshort-read解析を行ったところ、BRCA1遺伝子の欠失を示唆する所見は得られていない。 3.Long-read解析の手法の合理性を確認するには時間を要する可能性があると考え、RCCの臨床検体FFPEを用いたDNA alterationの解析をNGSの手法で施行したところ、第5、7.12番染色体上の遺伝子のcopy number gainがチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)に対する抵抗性に関連することが明らかになった。特に、第7番染色体のcopy number gainはmRCC患者のTKI治療後のPFS2の悪化と有意に相関することが示されており、現在論文作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GridIONを用いたlong-read解析については、その結果の客観性を確認するための論文や手引きが普及しておらず、PacBio sequenceを用いた解析との比較検討を行いつつ、データの信憑性を評価する必要があるが、現在、確証のあるデータが得られるまでには至っていない。また、組織FFPEを用いた解析やRCC細胞株を用いた解析には着手できている一方で、患者由来オルガノイドやPDXといった手法により得られる生検体や手術凍結検体を用いてRNAを抽出し、ペプチド同定を行うための準備が開始できていない。
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今後の研究の推進方策 |
1.GridIONを用いたlong-read解析については、共同研究施設でアル東京大学との連携はもちろん、海外とのネットワークを利用して基本データの収集をさらに活発化し、データ解析に利用できるようにした上で、研究をさらに推進する。 2.Short-read解析による薬物感受性研究については一定の結果が得られているので、早急に論文化できるように尽力する。 3. 患者由来オルガノイドやPDXの確率は、学内で他の癌種における樹立報告があるので、これらの手法を参考に樹立を急ぎ、これらのRNA抽出作業を推進する。
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