研究課題/領域番号 |
22K09501
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
北川 孝一 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命助教 (00822884)
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研究分担者 |
白川 利朗 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (70335446)
佐久間 信至 摂南大学, 薬学部, 教授 (80388644)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 癌免疫療法 / 膀胱癌 / 粘膜免疫 / 膜輸送性ペプチド / 腫瘍関連抗原 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は筋層浸潤性膀胱癌に対する新規癌治療薬の開発を目的として、粘膜免疫系を利用した経鼻的癌免疫療法の効果を動物実験にて検討する。近年、長鎖ペプチドやタンパク全長がT細胞を介する強力な腫瘍特異的免疫を誘導することが明らかになった。そこで本研究では、膀胱癌に高発現する腫瘍関連抗原と細胞膜輸送性を持つオリゴアルギニン固定化高分子とを混合した薬剤をマウスに経鼻投与して腫瘍特異的免疫応答を誘導する。さらに免疫チェックポイント阻害薬との併用による筋層浸潤性膀胱癌に対する相乗的な癌治療効果を検討する。本研究により、低侵襲かつ効果的な経鼻的膀胱癌免疫療法候補の創出につなげ、膀胱癌患者の予後改善を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、進行性膀胱癌に対する新規複合癌免疫療法の開発を目的として、膜輸送性ペプチドであるオリゴアルギニン固定化高分子を利用したドラッグデリバリーシステムにより、長鎖ペプチドやタンパクを送達する経鼻的膀胱癌免疫療法薬候補の癌治療効果を動物実験にて検証した。2023年度は、オリゴアルギニン固定化高分子とWT1タンパクのMHCクラスIおよびクラスIIエピトープを連結した長鎖ペプチド配列を混合したものを、Wilms' tumor 1(WT1)を発現するマウス膀胱癌細胞MBT-2を皮下移植したマウスに対して経鼻投与することによる抗腫瘍効果を検討した。また、免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体を併用し、経鼻投与による免疫誘導がその治療抵抗性を打破できるか検証した。治療後のマウス腫瘍を採取し、腫瘍浸潤リンパ球の存在比率につき検討した。非担癌マウスに対して上記経鼻投与を週1回、3週間行った後、マウス脾臓細胞の免疫反応を解析した。その結果、MBT-2担癌マウスにて、上記経鼻投与と抗PD-1抗体の腹腔内投与との併用投与が、無治療マウスと比較して明らかな抗腫瘍効果を示した。また、担癌マウスより回収した腫瘍浸潤T細胞の存在比率をフローサイトメトリーにて解析した結果、その存在比率に変化を認めた。経鼻投与後のマウス脾臓細胞をWT1タンパクで刺激培養し、細胞内サイトカイン染色を行った結果、上記経鼻投与をしたマウスにおけるIL-2産生CD4T細胞およびCD8T細胞の存在比率が上昇傾向にあり、またTNF-α産生CD8T細胞の数が他の投与群に対して有意に上昇した。研究期間全体を通した結果として、上記経鼻投与と抗PD-1抗体の併用投与が進行性膀胱癌に対する新規治療薬候補となる可能性が各種実験にて示された。
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