研究課題/領域番号 |
22K09511
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
石坂 和博 帝京大学, 医学部, 教授 (60168218)
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研究分担者 |
漆原 正泰 帝京大学, 医学部, 講師 (30420798)
向井 正哉 東海大学, 医学部, 教授 (40229919)
加藤 龍 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70516905)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | A humanoid robot hand / A 3-fingered robot hand / Primary/replica system / Robotic surgery / Partial nephrectomy / Radical prostatectomy / Biomedical engineering / Urological surgery / A humanoid robot hand / Less invasive surgery / da Vinci surgery / ヒューマノイドロボットハンド / ロボット手術 / 泌尿器科手術 |
研究開始時の研究の概要 |
da Vinciの鉗子動作は,手術野の確保や臓器把持という観点で熟達外科医の手の能力を超えたとは言い難く,また,手術成績は助手の能力に依存しうる.直観的に扱える助手用ヒューマノイドロボットハンドシステムを開発し,術者がda Vinci手術支援ロボットで施術して助手がロボットハンドで補助を行う新たな術式を探求し,現状の泌尿器科領域ロボット支援手術の手術効率を飛躍的に改善することを証明する.16mm以下の切開創から挿入可能かつ,狭い骨盤内で助手の動きに合わせて動く乳幼児程度の折り畳み型5指ハンドを開発し,模擬臓器・動物実験を通じて,現行のロボット手術施行困難症例にも適合可能な術式の樹立を行う.
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研究実績の概要 |
本研究では,手術補助を行う助手用ヒューマノイドロボットハンドシステムを開発し,現状の泌尿器科領域ロボット支援手術の手術効率を飛躍的に改善する新たな術式を探求することを目的とする.令和5年度の研究成果は以下の2点である. ①令和4年度のロボットハンド一次試作機改善点を踏まえ2次試作を行った.3指型ハンドであることとそのサイズは踏襲し,助手が片手で保持してロボットハンドを操作可能にする操作インターフェイスおよび保持機構の改良を実施した.グリップを薬指・小指で把持し,拇指・示指・中指の動きでハンドの第1指,2指,3指を操作する外骨格型インターフェイスを開発し,リーダーフォロワー制御とした.また、グリップとアームとの連結部に2自由度関節を有し,関節角からロボットハンドの手首の2自由度を操作する.これにより操作性を向上させた.また,指腹部に凹凸を付与し,把持した組織の滑落を防止する機構により把持性能を向上させた. ②ヒューマノイドロボットハンドシステムの手術における有効性を検証するため,布とスポンジで縫製した実寸大の臓器モデルを備える腹腔および骨盤内モデルドライボックス内の模擬手術を反復し成績を解析した.令和4年度に確立したポート位置,ロボットハンド挿入方向,da Vinciドッキング方法,ハンドによる手術補助手技を基本に.術者・助手としての練度を上げ比較試験を行った.前立腺全摘と腎部分切除との術式について,“da Vinci+助手ハンド操作”と“da Vinci+現行の助手鉗子操作”とを点数化して比較した.各手術パートの完遂時間と術者の作業負担度の比較により,助手ハンドの有用性を立証するデータを得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況としては,当初の予定に対して,助手用ヒューマノイドロボットハンドシステムも2次試作が概ね完了し,概ね順調に達成できていると考える.da Vinci以外の複数の手術用ロボットが市場に出て観察できることは,主に形状の点でロボットハンド開発に参考となり得る.手術における有用性の早期実証については,前立腺および腎に対するロボット手術を現在も多数施行して問題点を日々積み上げていることや,ハンドアシスト手術による腎臓や膀胱の手術経験,更には,開創手術における手を用いた前立腺処理にも多数の経験があることから,“da Vinci+ハンド”の手術方法立案が適切であることが功を奏したと考えられる.ロボットシステムを二者併用という柔軟な思考に基づくものである. 手術室やda Vinciシステムが,臨床工学士の協力も含めて使用しやすい環境にある研究を支援する施設であることも進捗の理由として大きい. 2次試作では,臓器把持の機構的な強度・精度向上や制御系の高度化が行われ,また,片手のみで支えかつ作動させることが可能になり,動物実験を含めた模擬手術への応用が容易となったが,細径化や遠隔操作化という観点では一層の改良が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
①ロボットハンドについては,今後更に,実用化を念頭に置き,手術用トロッカー最大径16mmの孔を通るよう細径化を進める.また,ハンドの牽引ワイヤーにかかる負荷から操作インターフェースを通じて力覚をフィードバックする機構の搭載や,遠隔操作化に必要なアーム部のロボットアーム化のためのマニピュレータ開発へ進む. ②動物手術(腹腔鏡手術)による助手用ロボットハンド使用の有効性検証を行うための麻布大学との共同研究化の契約が完了している.折り畳み機構のためハンドの3本指はヒトと異なり平板型なので,臓器の操作が有効かつ安全に遂行できるのか,実験動物による検証は不可欠である.倫理委員会の実験に関する承認は得られており,全身麻酔下で豚臓器手術を行い,助手ロボットハンド使用手術が安全に行えることを証明する.ハンドの細径化は間に合わないので,市販のリトラクター(ジェルポート)を通して手術用手袋を装着して挿入し気腹手術を遂行する. ③手術室でのドライボックス実験に使えるよう,鶏肉加工の臓器モデル作成を開始しており,その作成に習熟しつつある.臓器モデルを肥大化させることによる肥大臓器モデルや脂肪組織を模した加工品を配置した内臓脂肪過多モデルを作成し,ドライボックスモデルでの評価を行う予定である.
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