研究課題/領域番号 |
22K09514
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
篠田 和伸 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (60348737)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 免疫寛容 / 制御性形質細胞様樹状細胞 / siglec-H / 腎移植 / 腎自発免疫寛容 / 形質細胞様樹状細胞 / Siglec-H / 制御性T細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
移植医療において、免疫抑制剤を使用せずに移植片が生着する免疫寛容のメカニズムの解明は究極の命題である。我々はマウスにおいて腎自発免疫寛容の成立に制御性T細胞が必須であり、その誘導に形質細胞様樹状細胞 (pDC)の存在が重要であることを明らかにしてきた。しかし腎自発免疫寛容におけるpDCフェノタイプの特徴や、それを誘導するシグナル伝達に関しては未だ解明途上にある。本研究では、制御性pDCのマーカーとして注目されているSiglec-Hの発現の差が腎自発免疫寛容成立に関与していると考え、Siglec-Hの発現量を調整することで腎自発免疫寛容成立を人為的にコントロールする系の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、マウス腎移植モデルにおいて、免疫抑制剤無しでアロ抗原に対する免疫寛容が成立する「腎自発免疫寛容」のメカニズムを解明することを目的としている。先行研究で、制御性形質細胞様樹状細胞(制御性pDC)がアロ腎移植モデルにおいて腎自発免疫寛容成立のために重要であることが示唆されたが、特にそのマーカーの一つであるsiglec-Hに着目し研究計画を立案した。本年度はpDC特異的にジフテキアトキシンレセプター(DTR)を組み込んだ遺伝子改変マウス(Siglech-DTR)を繁殖する予定でいた。このマウスにジフテリアトキシンを投与することでpDC(Siglec-H陽性細胞)を特異的に消去することが可能であり、腎自発免疫寛容のメカニズムにおけるpDCの役割をより詳細に評価することができる。実験進捗状況としては、マウス腎移植モデルをIsogfraftを用いて多数の腎移植を行い、約80%程度の高い成功率が得られている。siglech-DTRの繁殖を始めたばかりで、まだ実験に十分な匹数が揃っておらず、本実験までは進められていない。また、免疫応答評価を評価する目的の混合リンパ球試験(MLR)に関しては、Responder細胞をCFSE染色して、4-6日目の免疫応答後の分裂細胞割合をFlowcytometryで評価を行った。Stimulatorとしてビーズ(CD3, CD28)とアロ細胞を用いたdirect pathway反応は十分に評価できる結果を安定して出せている。また、ドナー腎臓からの抽出タンパクを用いて、stimulator、responderともにレシピエント由来細胞を用いるindirect pathway反応の実験系も立ち上げた。こちらに関してはまだ安定した結果が出ていないため、引き続き実験系の確立に向けて検証を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度も昨年度に引き続きin vivoでは、マウス腎移植モデルをisograftを用いて行い、昨年度よりも高い確率の成功率を得ることができた。しかしながら、遺伝子組み換え動物飼育室の都合で、本研究で用いるSiglech-DTRマウスの繁殖をやっとスタートしたばかりのため実験に必要な飼育数がまだ得られていないのが現状である。In vitro実験系に関しては、新たにindirect pathway MLR反応実験系を立ち上げた。ドナー腎臓を、超音波破砕装置、コラゲナーゼを用いてタンパクを抽出し、それとレシピエント樹状細胞、T細胞を用いて反応を見る実験系である。まだ安定した結果を出すには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、Siglech-DTRの繁殖を安定させ、allograftを用いた腎移植実験系を開始し、in vivoの本実験を開始し、安定した実験結果を出すことを最優先目標とする。対象としてTGマウスではないallograftモデルの腎移植も行い、結果を比較検討していく。In vitroアッセイでは、CFSE-MLRによるDirect Pathwayの免疫応答反応の検出はほぼ問題なくできるようになったため、アロ臓器蛋白を用いたIndirect Pathwayによる免疫応答反応検出の系を安定した結果を出せるように確立していくことを最優先課題とする。
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