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脂肪酸伸長酵素ELOVLによるリポクオリティ制御を介した腎癌進展メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K09517
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分56030:泌尿器科学関連
研究機関筑波大学

研究代表者

新田 聡  筑波大学, 附属病院, 病院講師 (20887111)

研究分担者 神鳥 周也  筑波大学, 医学医療系, 講師 (50707825)
松坂 賢  筑波大学, 医学医療系, 教授 (70400679)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード腎癌 / 脂肪酸伸長酵素 / ELOVL2 / ELOVL5 / 脂肪酸伸長酵素ELOVL / リポクオリティ
研究開始時の研究の概要

淡明型腎細胞癌(ccRCC)では脂肪酸伸長酵素ELOVL2とELOVL5の発現が高く、多価不飽和脂肪酸が豊富であるが、この脂質の質的変容による生物学的意義は不明である。我々はこれまでにELOVL2/5がAKTシグナル経路や脂肪滴の産生を促進し、ccRCCの増殖や生存に寄与するという研究成果を得ているが、その詳細なメカニズムは未だ十分に解明されていない。本研究ではccRCCにおいて、ELOVL2/5による脂質の質的変容とAKTシグナル経路や脂肪滴との機能的関連性と、それを介してがんの生存・増殖に影響するメカニズムを明らかにすることを目的とし、がんの脂質代謝を標的とする新規治療の開発の基盤とする。

研究実績の概要

脂質は生体膜成分、エネルギー源、シグナル伝達分子(脂質の三大機能)として生体内で重要な役割を果たしている。脂質の主成分である脂肪酸は鎖長や不飽和度の違いによりその組成、いわば脂質の「質」(リポクオリティ)が変化し(質的変容)、脂質の生理活性に影響を及ぼすことが知られている。腎癌の約80%を占める淡明型腎細胞癌(ccRCC)では脂肪酸伸長酵素であるELOVL2とELOVL5の発現が高く、多価不飽和脂肪酸が豊富であるが、この脂質の質的変容による生物学的意義は不明である。我々はこれまでにELOVL2とELOVL5がAKTシグナル経路や脂肪滴の産生を促進し、ccRCCの増殖や生存に寄与するという研究成果を得ているが、その詳細なメカニズムは未だ十分に解明されていない。本研究ではccRCCにおいて、ELOVL2とELOVL5による脂質の質的変容とAKTシグナル経路や脂肪滴との機能的関連性と、それを介して、がんの浸潤・増殖に影響するメカニズムを明らかにすることを目的とする。
これまでに、ELOVL2およびELOVL5ノックダウン腎癌細胞株(786-OとA498)を用いて解析を行ってきた。マトリゲルインベージョンアッセイの結果から、ELOVL2およびELOVL5ノックダウン細胞株では細胞浸潤および細胞増殖が抑制されることが明らかとなった。また、RNAシークエンスによるトランスクリプトーム解析の結果から、ELOVL2およびELOVL5ノックダウン細胞株では細胞運動に関わる分子であるLIMK1の発現が低下していることが示唆された。実際に、qRT-PCRとウエスタンブロット解析により、LIMK1の発現がRNAおよびタンパクレベルで低下していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在までに、ELOVL2およびELOVL5ノックダウン腎癌細胞株(786-OとA498)を用いて解析を行ってきた。マトリゲルインベージョンアッセイの結果から、ELOVL2およびELOVL5ノックダウン細胞株では細胞浸潤および細胞増殖が抑制されることが明らかとなった。また、RNAシークエンスによるトランスクリプトーム解析の結果から、ELOVL2およびELOVL5ノックダウン細胞株では細胞運動に関わる分子であるLIMK1の発現が低下していることが示唆された。実際に、qRT-PCRとウエスタンブロット解析により、LIMK1の発現がRNAおよびタンパクレベルで低下していた。また、LIMK1をノックダウンした腎癌細胞株を用いたマトリゲルインベージョンアッセイの結果から、LIMK1が腎癌細胞の浸潤に関与していることが明らかになった。
一方で、ELOVL2とELOVL5により多価不飽和脂肪酸であるアラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸が合成されるが、GC-MSを用いて腎癌細胞株における多価不飽和脂肪酸が十分に測定できず、現在はさまざまな測定条件下でGC-MSによるこれらの脂肪酸の測定を試みている状況である。

今後の研究の推進方策

LIMK1と、ELOVL2およびELOVL5による脂質の質的変容との機能的関連性を評価していく。
脂肪酸の測定については、GC-MSによりアラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸の測定をさまざまな測定条件下で試みている。これらの脂肪酸の測定が可能となれば、GC-MS/MSや質量顕微鏡などを使用し、AKTのリン酸化に関与するイノシトールリン脂質を含むリン脂質や脂肪滴の主成分である中性脂質における脂肪酸組成の解析も行っていく。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] ELOVL5-mediated fatty acid elongation promotes cellular proliferation and invasion in renal cell carcinoma2022

    • 著者名/発表者名
      Nitta Satoshi、Kandori Shuya、Tanaka Ken、Sakka Shotaro、Siga Masanobu、Nagumo Yoshiyuki、Negoro Hiromitsu、Kojima Takahiro、Mathis Bryan J.、Shimazui Toru、Miyamoto Takafumi、Matsuzaka Takashi、Shimano Hitoshi、Nishiyama Hiroyuki
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 113 号: 8 ページ: 2738-2752

    • DOI

      10.1111/cas.15454

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Elucidation of the progression mechanism in renal cell carcinoma via ELOVL52023

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Nitta
    • 学会等名
      The 82nd Annual Meeting of the Japanese Cancer Association
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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