研究課題/領域番号 |
22K09525
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
重村 克巳 神戸大学, 医学研究科, 教授 (00457102)
|
研究分担者 |
滝口 哲也 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (40397815)
大澤 佳代 神戸常盤大学, 保健科学部, 教授 (50324942)
宮良 高維 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (50368304)
高島 遼一 神戸大学, 都市安全研究センター, 准教授 (50846102)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 尿路感染症 / 正解率 / AI診断システム |
研究開始時の研究の概要 |
近年医療分野において、人工知能(AI)を用いた診断システムが実用化されつつある。 従来の薬剤耐性感染症の検査には時間を要し、初期治療は医師が患者背景、尿所見などの情報から総合的に判断して、原因菌を推定して広域抗菌薬を選択するも、しばしば治療失敗や薬剤耐性の拡大に繋がっている。初期治療段階で耐性菌を予測できるAIシステムが実用化されれば、不適切な抗菌薬投与によるさらなる薬剤耐性化を防止できる。本研究では近隣諸国を含めた、治療データなどの臨床、細菌の情報毎に最適な深層ネットワークの検討を行う。最終的に、国際的に利用できるAIを用いた適正治療・耐性菌・耐性機構予測システムの開発を目指す。
|
研究実績の概要 |
尿路感染症の診断・治療においては現在、抗菌薬に耐性を示す、すなわち抗菌薬が効かずに治療抵抗性となる症例が多くなっており、それにより広域細菌に効果を有する抗菌薬の濫用へと繋がる可能性が問題となっている。そのために、薬剤耐性菌か否かを、迅速に診断して適正治療へと繋げることが求められている。本研究においては、神戸大学医学部附属病院における尿路感染症患者197例を対象としたロジスティクス回帰による、尿路感染症で最も多く分離される大腸菌の同定について、薬剤耐性菌の同定を行うAIシステムの開発研究の前段階の検討を行った。 対象は、2019年12月から2022年6月までに神戸大学医学部附属病院泌尿器科を受診し、尿路感染症と診断され、解析に耐えうるデータを有する患者197例である。 方法は、機械学習手法のロジスティック回帰を使用した。その中でランダムに選別された152例を性別・症状、ならびに尿路結石、前立腺肥大症、神経因性膀胱や糖尿病などの既往歴・病名・尿所見・尿培養結果・治療のための使用抗菌薬などの患者データをAIに深層学習させる学習データと設定し、残りの45例を評価データと設定した。 その結果としては、大腸菌か否かの判別の正解率は学習データで89.5%、評価データで71.1%であった。これは尿路感染症全体における大腸菌の割合が約70%であることを考えると信頼度の高い結果であった。(安田 満:尿路・性器感染症における耐性菌の現状:臨泌 2010; 64: 289-95) また、値が高い程大腸菌同定に重要な情報であることを示すロジスティック回帰係数は、尿路上皮癌の項目で4.66と最も高かった。大学病院という性格上悪性腫瘍による複雑性膀胱炎を扱うことが多く、典型的な尿路感染症の少なさが要因であると考えられる。今後外国株も交えた検討を進めていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機械学習手法(ロジスティック回帰)を用いて、大腸菌か否かを判定するAIシステムの開発を行った。その中で、「特徴量(データセットが持つ特徴を定量的に表したもの)を選択して用いること」、「データ数を多くすること」がAIシステムの精度高めるために必要であるという成果を得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
台湾の台北医学大学、インドネシアのガジャマダ大学および神戸大学附属病院と連携をさらに深めていき、尿路感染症患者のデータや原因菌のデータ・菌株を頂き、解析を進める。その中で、薬剤耐性遺伝子や病原性遺伝子等のAI開発に必要なデータの収集をPCR等の方法を用いて行う。そして、現在大腸菌か否かを判別している段階から今後は菌種を同定できる段階まで進めていき、最終的には、診療時の患者データから迅速に菌種だけでなく薬剤耐性の同定を可能とするAIの開発を目指す。
|