研究課題/領域番号 |
22K09534
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
木島 敏樹 獨協医科大学, 医学部, 講師 (90569500)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 前立腺癌 / 熱ショック蛋白質 / ブロモドメイン蛋白質 / 蛋白質分解 / ユビキチン / プロテアゾーム |
研究開始時の研究の概要 |
我々は分子シャペロンを用いた標的蛋白質分解誘導(CHAMP)の薬剤基板を開発した。CHAMPは、PROTAC(蛋白質分解誘導キメラ蛋白)と同様にこれまで創薬ターゲットとならなかった数多くの蛋白質を標的とするのみならず、PROTACに対する耐性克服につながるという観点で、抗癌治療のみならず、幅広い疾患に対する治療薬開発へ貢献する可能性がある。本研究ではCHAMPを用いた前立腺癌の新規治療開発を行う。
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研究実績の概要 |
熱ショック蛋白質(Heat shock protein: HSP)とは、新生蛋白質の成熟・安定化、変性蛋白質の修復・分解などを司る分子シャペロンである。特にHSP90は、多くの癌原蛋白質の安定化・機能発現に必須であるため、HSP90阻害剤がこれまで癌治療ターゲットとして注目されてきた。一方、HSPを介した蛋白分解は癌治療の観点では利用されてこなかったが、今回我々は、HSP90結合部位と標的蛋白質結合部位をリンカーで結合した薬剤により、HSP90を介したユビキチン化および蛋白分解を促進する、HSP90調節性標的蛋白質分解誘導(Chaperone-mediated protein degradation: CHAMP)の薬剤基盤を開発した。本研究計画では、去勢抵抗性前立腺癌を対象として、エピジェネティックな癌治療ターゲットとして注目されるブロモドメイン蛋白質BRD4の分解誘導剤(CHAMP-BRD4)を用い、その治療効果を検討する。 初年度は、前立腺癌細胞株を用いて、CHAMP-BRD4によるBRD4蛋白分解効果(Western blot)や、前立腺癌細胞株に対する抗腫瘍効果(in vitro)を検討予定であった。 しかしながら、CHAMPはHSP90結合部位としてHSP90阻害剤を利用しており、細胞生存に関わる熱ショック反応を惹起し、本薬剤の抗腫瘍効果を損ないうるため、まず、CHAMP-BRD4により惹起される熱ショック反応について、詳細な解析を行う事とした。具体的には、熱ショック反応のモニタリングのために、熱ショック因子(HSF1)とルシフェラーゼを結合したプラスミドを作成し、前立腺癌細胞株へ導入し、CHAMP-BRD4投与、熱ショック、およびその両者の刺激を加え、ルシフェレースアッセイにより熱ショック反応を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
CHAMP-BRD4により惹起される熱ショック反応について評価を施行した。熱ショック反応のモニタリングのために、熱ショック因子(HSF1)にルシフェラーゼを結合したプラスミドを作成し、前立腺癌細胞株へ導入し、CHAMP-BRD4投与、熱ショック、およびその両者の刺激を加え、ルシフェレースアッセイにより熱ショック反応を評価した。CHAMP-BRD4は単独では熱ショック反応をほとんど惹起しないが、熱ショックと同時に加えると、熱ショック反応を高度に惹起するすることが示された。CHAMP-BRD4による抗腫瘍効果を最大限に発揮させるには、熱ショック反応を抑えるためにHSF1阻害剤を併用することが重要である可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、初年度に施行予定であった、1)前立腺癌細胞株におけるCHAMP-BRD4のBRD4分解効果(Western blot) 、2)前立腺癌細胞株(in vitro)におけるCHAMP-BRD4の抗腫瘍効果、3)前立腺癌細胞株におけるCHAMP-BRD4のAR抑制効果、を中心に解析する。初年度の成果に基づき、CHAMP-BRD4にHSF1阻害剤を併用することにより、熱ショック反応を抑えより高い抗腫瘍効果が得られるかについても検討する方針である。
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