研究課題/領域番号 |
22K09541
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
董 培新 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (50602504)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 子宮体癌 / 長鎖非翻訳性RNA / RNA結合タンパク質 / RNA結合蛋白質 / lncRNA |
研究開始時の研究の概要 |
我々の検討により、長鎖非翻訳RNA分子(lncRNA、DLEU2) の発現亢進と子宮体癌(体癌)の病態との関連が示されている。それらを標的とした新規治療法の可能性が示唆されたが、DLEU2の発現は一部の正常組織でも認められ、より体癌細胞に特異的に発現するDLEU2の上流分子を標的する必要がある。本研究ではまず、DLEU2の発現に重要なRBP群を網羅的に同定し、その生物的機能を解析する。またRBP群が、どのようにDLEU2の安定性及び細胞内局在を制御するかを精査する。更にRBP群の新規パートナーlncRNA群が、体癌の増悪化に与える影響とその分子機序の全容を明らかにする。
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研究実績の概要 |
研究計画に基づき、長鎖非翻訳性RNA(lncRNA)であるDLEU2の発現に重要なRNA結合タンパク質RBP群の同定と機能解析を展開した。具体的には、ChIRP-MS法を用い、DLEU2に結合するRBP候補群を同定した。そして、 複数の体癌細胞株を用い、ビオチン化DLEU2を用いたpull-down法によって、DLEU2に直接に結合するRBP候補群を確認した上で、luciferase assayを使用し、DLEU2配列におけるRBP群(IGF2BP3など)の結合部位を確定した。続いて、これらのRBP群のmRNA高発現は、体癌患者の予後不良と関係していることを発見した。更に、同定されたRBP群の生物的役割について、過剰発現ベクターまたCRISPR/Cas9法による発現抑制法を用いた細胞実験により、体癌悪性化の調節因子としての複数のRBPの関与を明らかにした。特に、IGF2BP3の発現抑制によって、体癌細胞の増殖能、運動能、浸潤能、癌幹細胞形質、抗がん剤に対する抵抗性は、著しく阻害されたことを確認した。また、代表的な体癌細胞株では、複数のRBP(IGF2BP3など)が、DLEU2の配列に直接に結合することを発見した。以上の研究によって、体癌において、IGF2BP3など複数のRBP群は高発現して、そしてこれらのRBP群の高発現は予後不良因子であることを発見した。また、IGF2BP3などのRBPは、体癌細胞の悪性形質を促進できることを証明した。IGF2BP3などのRBPは、DLEU2に直接に結合することを解明した。RBP群とDLEU2の相互作用は、DLEU2の発現亢進を招き、その結果、DLEU2の下流にある癌抑制的microRNA群の発現を低下させ、癌促進的遺伝子経路の活発化を介して、体癌細胞の悪性形質の促進に重要であると予想できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づき、長鎖非翻訳性RNA(lncRNA)であるDLEU2の発現に重要なRBP結合タンパク質(RBP)群の同定を実施した。IGF2BP3などのRBPは、DLEU2の配列に直接に結合することを明らかにした。体癌細胞におけるIGF2BP3などのRBP群の機能解析を展開し、その癌促進的役割を発見した。これは研究計画通りの成果であり、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
RBP群が、どのようにDLEU2の発現及び細胞内局在を制御するのかを解明する計画である。更に、RBP群は、DLEU2の安定化因子、またDLEU2の核外移行を促進することによって、DLEU2の発現と細胞質への局在を促進する可能性を検証する。推進方策として、体癌細胞株において、RBP候補の発現を変動させ、DLEU2の安定化性の変化と細胞核から細胞質への輸出を、DLEU2半減期の測定、FISH法、細胞核質RNA分画法-qPCR法を解明する。そして、RBP群は、DLEU2の安定化また核外移行を促進することによって、DLEU2の発現と細胞質への局在を促進する可能性を検討する。上記の方法で、RBP群による分解抑制と細胞質への輸出を介したDLEU2発現と機能制御の分子基盤を明らかにする。
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