研究課題/領域番号 |
22K09545
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
真川 祥一 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (40812300)
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研究分担者 |
松田 直 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50361100)
池田 智明 三重大学, 医学系研究科, 教授 (80202894)
二井 理文 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (90790832)
真木 晋太郎 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90794371)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 胎児心拍数変動 / 胎児心拍数モニタリング / 胎児well being / 胎児生理学 / 自律神経 / 胎児心拍変動 / 胎児子宮内感染 / 炎症 / 胎児発育不全 / 胎児心拍細変動 / 分娩監視 / 胎児心拍モニタリング / 神経損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
分娩中の胎児への低酸素ストレスで生じる脳性麻痺は,近年飛躍的に発展した周産期新生児医療に残された大きな課題である.これを回避するためには胎児心拍陣痛図から得られる情報に基づいて適切なタイミングで医療介入する必要があるが,その判読は必ずしも容易ではなく主観的になりやすい.そこで本研究では動物実験モデルの胎児心拍細変動解析から得られた知見に基づいて,分娩中の低酸素ストレスを客観的に把握して,医療介入すべき適切なタイミングを示す新規指標を開発する.本研究は基礎研究の知見を臨床医療に応用するための橋渡し的研究に位置づけられる.
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研究実績の概要 |
本年度は分娩監視装置を用いて、児頭電極から心電図データを抽出するシステムおよび解析する方法についての整備が完了したことにより、正常妊娠症例について児頭電極留置による心電図データの採取が十分症例行うことができ、解析を行なった。Time-domain, Frequency-domain, Sample Entropyについての解析を中心に分娩経過によるこれらのパラメータ変化を評価した。評価内容は2023年 母体胎児学会で発表を行い、他の研究者から追加すべき内容について評価されている。子宮内感染を疑う症例については症例の採取を継続しており、同時並行で解析を行なってる。本研究で明らかになったものとしては胎児発育不全(FGR)症例の分娩時の心電図採取が困難であることである。FGR症例は通常のフリードマン曲線に従わない分娩が多く、児頭電極による心電図採取が難しいことも明らかになった。これらについてはFGR症例における分娩進行について現在論文を作成中である。また、国際学会での発表を予定しており、海外の研究者とも交流し、解析方法や新知見についての検討を行う予定である。 現段階では、いわゆる正常妊娠症例においても、繰り返す子宮収縮によりその50%以上で一過性徐脈を認める場合にはtime-domainのRMSSD成分で上昇傾向にあることが明らかになった。これは、低酸素負荷に伴う副交感神経の賦活化を示している動物実験の先行研究と矛盾しないものであり、ヒト胎児で明らかにした初めての報告となる見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
システムの構築および症例のリクルートについては分娩数の低下およびハイリスク妊娠の増加に伴う緊急帝王切開の件数増加により、思うように経膣分娩症例を用いた児頭電極の留置と心電図データの回収は叶わなかった。しかし、今年度はリクルートおよび症例の蓄積が可能であり、おおむね順調と判断している。しかし、上述した通り、FGR症例については、急速な分娩進行と、重度のFGR症例については積極的な帝王切開による娩出が考慮される場面が多々あり、分娩進行中も胎児機能不全に伴う帝王切開になることが多い。これらの問題について、地域のFGR症例をハイボリュームセンターである三重大学に集約する方針で解決を図っている。また、今後、FGRについて分娩監視の研究を行う研究者に対しても利用できるよう、FGR症例の経膣分娩の動向について論文を作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、感染症例のデータ解析がまず第一である。既に症例数の蓄積が終えており、データのクオリティを評価しながら収集および解析を行う予定であり、その後正常症例との比較を行う。FGR症例についてもサンプルサイズは目標に満たない可能性はあるものの、貴重なデータであり、サイズの制限はあるものの比較により今後の検討を行うことは十分可能と考える。すでに、正常妊娠症例の解析が終了しており、自律神経の活性変化について本研究のシステムが問題なく稼働していることが示されたことがまずは成功であり、今後リスク評価や疾病である低酸素脳障害の予防が可能かについて検討できると考えている。 また、次のステップとしては大規模研究を行う必要があり、他施設の共同研究を行う必要がある。これを可能にするために、まずは児頭電極による管理が安全で有益であることを学会発表を通じて広めるとともに、最新知見の収集および胎児生理学の解明について協力できるチームを作成し、より質の高い研究絵を行う必要がある。最終的には、リアルタイムでの胎児自律神経挙動について評価を行い、適切なタイミングでの分娩時医療介入を行うことが目標である。
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