研究課題/領域番号 |
22K09547
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 敏啓 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (90584524)
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研究分担者 |
上田 豊 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10346215)
平松 宏祐 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (10650591)
中川 慧 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30650593)
角田 守 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (30923031)
小林 栄仁 大分大学, 医学部, 教授 (50614773)
三好 愛 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (50880712)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | gynecology / cervical intraneoplasia / single-cell analysis / HPV |
研究開始時の研究の概要 |
子宮頸癌は正常子宮頸部上皮にヒトパピローマウイルス(HPV)が感染し、一部が持続感染し、子宮頸部異型上皮(CIN)を経て子宮頸癌へと進行する。本研究では次世代シークエンサーを用いて子宮頸部組織のシングルセルmRNA シークエンス解析を実施し、HPV感染、異型上皮への変化およびその病勢進行に関するメカニズムの解明と新規進行予知マーカー・新規治療標的の探索を目的とする。
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研究実績の概要 |
子宮頸部組織のシングルセル解析によって子宮頸部組織の癌化のメカニズムの解明を目的とする。なかでも子宮頸部異型細胞の病勢進行のメカニズムおよび進行予知マーカーを見出すことを目的として本研究を進める。計3検体について研究を進めた。 CIN3、HPV16(+)と診断され、手術にて摘出された子宮腟部組織を採取。物理的、化学的な組織の処理による子宮腟部組織の単一細胞への分離は良好。ライブラリー作成及びシークエンスの条件を検索、設定した。 各組織より各々5000-10000の細胞が解析可能であった。クラスターマーカーを用いて上皮細胞、免疫細胞、間葉系細胞、線維芽細胞等のクラスターを同定した。HPV16の感染している細胞を同定したところ感染細胞は主に上皮細胞でみられ、これまで言われてきている病態を一細胞レベルでも確認できた。次にHPVが取り込まれた感染細胞内でのmRNAの変化を様々な解析手段を用いて検討を行った。Non-negative matrix factorization(NMF)を用いて感染細胞に有意に発現の変化する遺伝子グループを同定した。対象としてTCGAの子宮頸癌のデータを利用した。結果、HPV感染細胞において減数分裂に関与する遺伝子群の発現増加がみられた。その発現の増加は予後良好な因子と相関していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では次世代シークエンサーを用いて子宮頸部のシングルセルmRNA シークエンス解析を実施し、癌化および病勢進行に関するメカニズムの解明と新規進行予知マーカー・新規治療標的の探索を目的とする。初年度よりシングルセルmRNAシークエンス解析を行うにあたり、サンプルの調整や条件設定がやや難渋したが、現在は3検体を十分なクオリティで調整が可能となり、ライブラリー作成に関しては当初の目的を果たしたと考えている。現在はシークエンス解析を進めている。シークエンス解析の方法論については当初想定していたもののみならず、新しい解析方法を目的とした解析としては様々な解析方法で解析をしてみる必要があり、それらについてさらなる検討を要することが分かった。現在はNMF解析により、減数分裂に関する遺伝子群が、予後良好マーカーとしての候補となることを明らかにした。さらに減数分裂に関する遺伝子群の解析を進め、MEI1という遺伝子が中でも予後良好マーカーとして関与する可能性を見出した。他の解析方法をさらに検討し、新規マーカー、治療標的分子の探索を継続していく予定である
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究方針 様々な解析を繰り返して、予後関連マーカーや新規標的分子となり得る遺伝子の探索を繰り返すことを継続していく。 また前述の本研究にて同定されたMEI1についてはこれまで一細胞レベル内でのmRNA発現の増加について明らかにした。今後は予後良好となるその機序について検討する。具体的には遺伝子導入やノックダウンによりそのほかの遺伝子に関してmRNA変化や発現蛋白の変化について分子生物学なアプローチによって明らかにする。また、検体を採取した患者についてはフォロー継続中のため、その予後調査を継続する。
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