研究課題/領域番号 |
22K09559
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
桑原 慶充 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40373013)
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研究分担者 |
片山 映 日本医科大学, 医学部, 助教 (10333113)
杉田 洋佑 日本医科大学, 医学部, 助教 (60774354)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 慢性子宮内膜炎 / 脱落膜化 / プロゲステロン / 不飽和脂肪酸 / エピジェネティック変容 / 脱落膜化障害 |
研究開始時の研究の概要 |
良好胚を繰り返し移植しても妊娠が成立しない「反復着床不全」の克服は、現代の生殖補助医療の中心命題である。本研究では、着床不全との関連が注目されている慢性子宮内膜炎に注目し、高度な脱落膜化障害をきたす主要メカニズムと考えられるプロゲステロン不応と、その背景にあるエピジェネティック変容についてゲノムワイドに解析し、新たな診断マーカーや治療開発に向けた分子基盤を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究は、ヒトおよび動物モデルより採取した子宮内膜検体を用いて、慢性子宮内膜炎に特異的な分子変化をゲノムワイドに捉え、着床不全病態を反映する新たな診断マーカーや治療開発に向けた分子基盤を確立することを目的としている。 ①ヒト内膜検体採取 施設倫理委員会の承認を得て、生殖補助医療において反復着床不全または反復流産患者を対象に実施した子宮内膜生検の余剰検体を用いて、①CD138 免疫染色による慢性子宮内膜炎の診断、②mRNAを抽出しcDNAライブラリーの作成、③質量分析法による分子発現解析にむけた検体の凍結保存を行い、症例の集積を継続している。 ②マウス慢性子宮内膜炎モデル マウスを麻酔下に開腹し、両側子宮角に針を刺入し、 LPS(10μg/100μL)を注入したのちに閉腹し、術後1日目、3日目、5日目、7日目に子宮を摘出した。ホルマリン固定による組織切片にCD138 免疫染色を実施し、LPSの投与により子宮内膜間質の形質細胞が術後7日目に最も顕著に増加し、ヒト慢性子宮内膜炎と類似した病理像が誘導された。このモデルを用いてCEを誘導したマウス子宮組織のRNA-seqに展開した。LPS投与後7日目のマウス子宮組織からRNAを抽出し、生理食塩水(NS)を投与したマウスから採取したコントロール検体との対比において遺伝子発現変化を網羅的に解析した。GO解析の結果、『脂肪酸合成関連遺伝子群』に顕著な発現変化を認めたことから、CE病態形成と脂肪酸の関連に着目した。マウス子宮組織中の脂肪酸を、質量分析計を用いて測定すると、LPS投与後7日目ではNS投与に比較して、抗炎症作用を有するω3多価不飽和脂肪酸(ω3PUFA)の増加を認め、炎症収束にむけた合成亢進が示唆された。ω3PUFAは食生活で欠乏しやすい必須脂肪酸であることから、治療抵抗性の難治性慢性子宮内膜炎へ関与している可能性を想起した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト臨床検体の収集状況は順調であり、患者背景とリンクしたデータベースの作成が進んでいる。マウスの慢性子宮内膜炎モデルを用いて、当該病態と不飽和脂肪酸の関連を示唆する知見が得ららたことから、今後の新たな研究展開が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
1)脂肪酸合成に関連する調節因子Srebf1(Sterol regulatory element-binding factor 1)の全身欠損マウスを用いて、ω3PUFAが著しく欠乏した場合の慢性子宮内膜炎の病勢変化を解析する。 2)慢性子宮内膜炎を誘導したマウスをを交配し、プロゲステロンシグナルに応答した脱落膜化マーカーの発現変化、生殖における表現型を明らかにする。 3)慢性子宮内膜炎の罹患患者、非罹患患者の臨床検体を用いて、子宮内膜組織中の脂肪酸を質量分析計で測定し、比較解析する。
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