研究課題/領域番号 |
22K09572
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
佐藤 誠也 島根大学, 医学部, 特別協力研究員 (30621007)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 正常子宮内膜 / 幹細胞 / 3次元培養 / 遺伝子変異 / 正常子宮内膜上皮 / 子宮内膜がん / 発癌 |
研究開始時の研究の概要 |
正常子宮内膜上皮おいて、癌関連遺伝子の病的変異がすでに存在することが示された。周期的に剥脱・再生を繰り返す子宮内膜において、この遺伝子変異が発癌にどのように寄与するかは明らかでない。申請者はPIK3CA変異を有する特定の子宮内膜単一腺管から幹細胞リッチなスフェロイドが形成されることを明らかにした。このスフェロイドをオルガノイド培養へ供し、変異の有無による増殖能や浸潤能などの細胞機能、シグナル伝達経路や内膜構造への影響を明らかにする。また、変異腺管と野生型腺管から不死化子宮内膜上皮幹細胞株を樹立し、内膜がんと関連する遺伝子を導入することで、内膜がんのin vitro多段階発癌モデルを構築する。
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研究実績の概要 |
正常子宮内膜単一腺管および単一腺管由来スフェロイドにおけるKRAS/PIK3CA変異の有無を以下の手順で検索した。①外科的に切除した子宮 (n = 3)の内膜を肉眼的に9つの領域に分割し、各領域から40個の単一腺管を鏡視下に単離した。②各領域の10個の単一腺管(計270個)からDNAを抽出し、サンガーシーケンスを実施した。③残りの30個の腺管を子宮内膜の領域毎に長期の幹細胞培養へ供し、直径5mm以上へ発育したスフェロイドを回収して同様に遺伝子解析を行った。遺伝子変異を有する単一腺管内の変異対立遺伝子頻度 (MAF)をdroplet digital PCRにより算出し、スフェロイドの性質を上皮マーカー(PAX8)と幹細胞マーカー(核Axin2/SOX9、細胞質ALDH1A1)を用いた免疫組織化学で評価した。 サンガー法により子宮内膜単一腺管のKRASまたはPIK3CAのホットスポットにおける遺伝子変異の検出が可能であった。回収した腺管の9.3%(25/270)にKRASまたはPIK3CAの変異を認め、各子宮内膜領域の変異頻度は 0~50%と領域性を示した。単一腺管内のPIK3CA変異のMAFは16.4%と高く、腺管内での変異細胞のクローン増殖が示された。回収したスフェロイドは主にPAX8および幹細胞マーカー発現細胞で構成され、その60%以上にPIK3CA変異を認めたが、KRAS変異は検出されなかった。 子宮内膜単一腺管内におけるPIK3CA変異の高いMAF、および単一腺管に由来する幹細胞リッチなスフェロイドにおける頻繁なPIK3CA変異は、子宮内膜上皮幹細胞の増殖におけるPIK3CA変異の重要性を示唆した。(Cancer Sci. 2023;114:2335-2344)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の目的は「正常子宮内膜上皮幹細胞におけるde novo遺伝子変異の多段階発癌における意義」を解き明かすことにある。上記のような一定の成果が得られ、また、正常子宮内膜単一腺管由来のスフェロイドの長期培養には成功している。さらに症例数を増やし、同様の手法で単一腺管由来スフェロイド作成が可能であることを確認した。しかし、PIK3CA変異に着目した子宮内膜幹細胞の機能解析に必要な細胞増殖能が得られず、その克服のための「スフェロイド構成細胞の不死化」のステップも難航しているため。
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今後の研究の推進方策 |
幹細胞リッチな細胞から構成される正常子宮内膜単一腺管由来スフェロイドから、野生型および変異型癌遺伝子を有する不死化子宮内膜上皮細胞株を樹立する。次いで、変異の有無による増殖能や浸潤能などの細胞機能およびシグナル伝達経路への影響を検証する。また、スフェロイド構成細胞からオルガノイドを作成し、その蛋白発現を免疫組織化学で確認する。さらには内膜がんで同定されるphenotype異常と関連する変異遺伝子を各細胞株へ導入し、子宮内膜がんのin vitro多段階発癌モデルを構築する。
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