研究課題/領域番号 |
22K09574
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
永井 康一 横浜市立大学, 医学部, 助教 (40835815)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | uterine leiomyoma / MRI classification / MED12 / mutation status / predictive marker / GnRH agonist / GnRH antagonist / volume reduction rate |
研究開始時の研究の概要 |
GnRHアナログは強力なゴナドトロピン分泌抑制作用により女性ホルモンを低下させる。子宮筋腫に対する術前使用では、筋腫核の縮小効果を期待してGnRHアナログを投与するが、すべての子宮筋腫が縮小する訳ではない。期待した筋腫縮小効果が得られない場合、外科的治療介入のタイミングが遅れるだけでなく、エストロゲン欠乏による更年期症状や骨密度低下などの副作用が生じる。 本研究の目的は、GnRHアナログによる子宮筋腫の縮小効果を予測可能にする遺伝子マーカーの探索である。薬剤効果を投与開始前に予測可能となれば、縮小の見込める症例に対して選択的にGnRHアナログを使用することで患者の負担軽減につながる。
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研究実績の概要 |
子宮筋腫はエストロゲンとプロゲステロンに依存して増大するため、多くの子宮筋腫は閉経を迎えるまで増大を続け、閉経後にエストロゲンとプロゲステロンが低下すると腫瘍径は縮小する。しかし一部の子宮筋腫は閉経やGonadotrophin‐releasing hormone(GnRH)アナログにより誘導される低エストロゲン環境下においても腫瘍サイズが縮小せず、その背景にある分子生物学的なメカニズムは解明されていない。 MED12 変異型筋腫とMED12 野生型筋腫の筋腫体積をリュープロレリン投与前後で比較したところ、MED12 変異型筋腫の子宮筋腫体積縮小率は中央値15.6%であったのに対して、MED12 野生型筋腫の子宮筋腫体積縮小率は中央値43.4%と有意に高かった。我々は、MED12変異型筋腫と比較してMED12 野生型筋腫はリュープロレリンにより縮小しやすいことを明らかにした。 GnRHアナログ投与前に生検を行いMED12遺伝子変異の有無を確かめることは患者の身体的侵襲が大きいため、MRIなどの画像診断からGnRHアナログの効果予測マーカーとなる遺伝子変異の有無を判別できる方法が望まれる。我々は、T2強調画像においてMED12変異型筋腫は低信号を、MED12野生型筋腫は高信号を示すことが多いことを明らかにし、子宮筋腫のMED12遺伝子変異の有無を単純MRI画像から推定する分類法を考案した。 MED12遺伝子変異の有無は、子宮筋腫に対するGnRHアナログの薬剤効果を予測する遺伝子マーカーの候補となりうる。子宮筋腫の縮小を予測可能にする遺伝子マーカーの探索と、AI活用を含めた子宮筋腫の画像診断を研究の軸として進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示した上記発見を論文として発表した。 Nagai K, et al. Am J Obstet Gynecol. 2023;228(2):207.e1-9. DOI: 10.1016/j.ajog.2022.09.024
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今後の研究の推進方策 |
30-40歳代の患者に対して、長期的な視点からどのように副作用リスクを最小化してGnRHアナログを使用するかという課題は国際的にも未解決である。本研究はGnRHアナログに期待される薬剤効果の中で、まず子宮筋腫の縮小効果を予測することを出発点とし、新たな治療指針の作成を目指す。引き続き、申請書に記載した研究計画に基づき研究を進める予定である。低エストロゲン環境下の子宮筋腫縮小を遺伝子変異から予測するため、その遺伝子変異を組織生検することなく同定可能にするイメージングバイオマーカーの開発を行う。
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