研究課題/領域番号 |
22K09582
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
岡宮 稜子 東海大学, 医学部, 助教 (10908974)
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研究分担者 |
石本 人士 東海大学, 医学部, 教授 (10212937)
後藤 優美子 東海大学, 医学部, 客員講師 (50624574)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | PD-L1 / PD-1 / 胎盤 / 霊長類 / 浸潤性胎盤 |
研究開始時の研究の概要 |
子宮筋層への胎盤浸潤性の低下は、胎盤の虚血から妊娠高血圧症候群や胎児発育不全の発症に繋がり、また流産とも関連する。よって胎盤浸潤メカニズムを明らかにすることは、これらの新たな予防法・治療法を開発する上で重要である。本研究では、ヒトと同様に浸潤性のあるコモンマーモセットの胎盤組織および各種ヒト絨毛癌細胞株を用いて、胎児に由来する胎盤絨毛の栄養膜細胞が発現するPD-L1関連シグナル分子と、浸潤・上皮間葉転換調節関連分子等の発現の関連性を解析し、PD-L1と母体由来Tリンパ球が発現するPD-1との相互作用が、胎盤の浸潤性の獲得あるいは亢進に関わるかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
細胞性栄養膜細胞(CTB)の分化の一型である絨毛外TB(EVT)の浸潤性が低下すると、子宮らせん動脈の拡張不全から胎盤への血流が減少し、妊娠高血圧腎症の発症 を惹起すると考えられる。この浸潤メカニズムを明らかにすることは、妊娠高血圧腎症の新たな治療・予防法を開発する上で重要である。PD-1(programmed cell death 1)は活性化T細胞の表面に発現する受容体で、PD-L1 (programmed cell death ligand 1)は癌細胞などが発現し、PD-1と結合するとPD-1発現T細胞は疲弊し て死滅する。よってPD-1またはPD-L1を阻害する免疫チェックポイント阻害剤は抗腫瘍効果を持つ。我々は胎盤ではPD-1/PD-L1経路が妊娠免疫寛容に関与し、EVT の浸潤性が増強しているのではないかという作業仮説を立てた。今年度の研究では、EVTモデルである絨毛癌細胞株JEG-3細胞において、絨毛間腔と同様にプロゲステロン(P4)濃度が高い環境下では増殖が抑制されること、P4添加の代わりにP4封入リポソームに抗PD-L1抗体を結合したLipo-P4を用いると、より低い濃度で効率的に増殖が抑制されることが判明した。また高濃度P4によりT/Bリンパ球系の様々な腫瘍細胞株でも同様に細胞増殖が抑制されるが、ヒトリンパ球では活性化が抑制される一方で、疲弊マーカーの発現も抑制されること、Lipo-P4を用いるとリンパ球に対するP4の抑制作用が増強すること、が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は胎盤ではPD-1/PD-L1経路が妊娠免疫寛容に関与しているのではないかという作業仮説を立てたが、これまでにその仮説におおむね沿った研究成果が得られており、研究の進捗状態は順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの研究で、機能解析が可能なPD-L1を発現する絨毛癌細胞株およびcytotrophoblast培養系、フローサイトメトリーを用いた解析系を構築しており、今後もこのような実験系を活用し、ヒトとコモンマーモセットの栄養膜細胞や胎盤免疫担当細胞間で、進化的に保存される浸潤関連分子を抽出したり、PD-L1やそれ以外の免疫チェックポイントリガンドの発現と TrkB、MMP等の浸潤関連分子の発現を解析し、作業仮説を検証していく計画である。
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