研究課題/領域番号 |
22K09593
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
宮本 強 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (70418721)
|
研究分担者 |
塩沢 丹里 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20235493)
小原 久典 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (30598818)
大彌 歩 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (60837079)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 子宮頸部胃型粘液性癌 / 分葉状頸管腺過形成 / 子宮頸部多発嚢胞 / 臨床鑑別診断 / MRI / 人工知能 / 深層学習 / 鑑別診断 |
研究開始時の研究の概要 |
子宮頸部多発嚢胞病変(CMCL)では、良性病変であるナボット嚢胞(NC)、分葉状頸管腺過形成(LEGH)、高悪性度で治療抵抗性の胃型粘液性癌(GAS)が臨床的特徴が類似することから、しばしば鑑別が困難となる。我々はこれまでCMCLの臨床鑑別診断と対応法を提案してきたが、その内、MRIは特に重要だが、診断精度の施設間格差が適切な診断と対応の壁となっている。人工知能 (AI)は、画像分類の分野においての進歩がめざましく、学習した内容に応じた均質な結果を出力することが可能となってきた。そこで本研究では、MRI診断の精度向上と均霑化を目指し、AIによるCMCLのMRI診断の実現・精度向上を目標とする。
|
研究実績の概要 |
子宮頸部多発嚢胞病変(CMCL)の鑑別疾患として粘液腺の導管の閉塞・狭窄による貯留嚢胞すなわちナボット嚢胞(NC)、良性胃型病変である分葉状頸管腺過形成(LEGH)、HPV非依存性・高悪性度で治療抵抗性の胃型粘液性癌(GAS)が特に重要であり、各々の臨床病理学的特徴は類似しているが、悪性度が全く異なるので、適切な診断とそれに基づく対応が極めて重要である。我々はこれまで頸管細胞診、MRI、胃型粘液検出によるCMCLの臨床鑑別診断と対応法を提案し、その有用性を報告してきた。このなかで、特にMRIは臨床診断上最も重要であるが、現状では読影精度に大きな施設間格差が存在すると考えられる。その結果、臨床的にほとんど問題がないNC患者に対しても子宮全摘術が行われるなど、CMCL患者に対し、過剰治療とも言える対応がなされている可能性がある。この問題の解決のためには、MRI診断の精度向上と均霑化が必要である。近年、人工知能 (AI)は、画像分類の分野においての進歩がめざましく、学習した内容に応じた均質な結果を出力することが可能となってきた。そこで本研究では、AIによるCMCLのMRI診断の実現・精度向上を目標とする。2022年度は自施設症例を中心に複数のAIプログラムを用い、深層学習および検証を行った。その結果、T2強調画像(T2WI)の矢状断/水平断、およびT1WI水平断の3つの画像のみで、特にNCとLEGHの鑑別に関してはAIによる診断精度は0.8以上の高水準を示し、一般的な放射線診断医の診断精度0.7~0.8に劣らないことが示された。一方、同じ量の学習でもAIプログラム間で診断精度に差が出ることがわたっか。AIプログラム改善、学習症例数の増加により、さらに診断精度向上が望めると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数のAIプログラムで検討を行うことで、適切な画像選択が明らかになった。またプログラムにより診断精度に差があることも示され、今後どのプログラムを利用するかについても、方向性が定まった。既に現段階でも、NCとLEGHの鑑別に関しては、一般の画像診断医に劣らない診断精度を示しており、AIが診断補助ツールとして有用であること、現状のNCに対しても子宮全摘術が積極的に行われている現状の改善に有用である可能性が示唆される。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的に実験計画通りに進める。多施設共同研究により、さらなる症例集積を目指す。さらにGAS症例の鑑別可能になるように検討を進める。現状の画像診断医による診断でも、明らかなGAS症例の画像診断は比較的容易であるが、初期病変の診断精度向上を目指して、研究を進める。
|