研究課題/領域番号 |
22K09613
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
楯 真一 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (00322636)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 卵巣癌 / 相同組換え修復欠損 / バイオマーカー / MicroRNA |
研究開始時の研究の概要 |
卵巣癌に対するPARP阻害剤の効果は相同組み換え修復経路異常Homologous Recombination Deficiency,HRDと相関するため、それぞれの患者の腫瘍HRD状態の見極めが重要である。しかし、現在市販されているHRD検査は初回手術時の腫瘍検体から1回しか検査ができないため、再発したときのHRD状態は反映していない。尿中エクソソーム内miRNAの網羅的探索を行い、HRD状態を高精度に判定できるmiRNAのバイオマーカーの同定することを本研究の目的とした。本検査システムの確立により、卵巣癌治療においてその患者の治療の個別化につながる。
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研究実績の概要 |
Homologous recombination deficiency陽性の卵巣癌においてその予後因子は明らかとなっていない。Genomic instability score (GIS)はゲノム不安定性の状態を示すスコアであり、進行卵巣がん患者の維持療法においてbiomarkerとして機能している。GISの予後因子としての役割については臨床的に明らかになっていない。PAOLA-1維持療法の患者においてGISの予後因子としての意義を検討した。2021年4月から2023年8月までにHomologous recombination deficiency陽性の進行卵巣がん症例56例に対してPAOLA-1維持療法をおこなった56例を対象とした。再発の有無を目的変数としてGISを用いてROC曲線を作成し、GISのcut-off値の設定をおこなった。高GIS群と低GIS群の無増悪生存期間(PFS)の生存解析をおこない、他の臨床的因子と多変量解析をおこなった。56例の年齢の中央値は59例で、進行期はⅢ期31例、Ⅳ期25例であった。完全切除された症例は53例(95%)であった。維持療法開始時のCA125は9.8 IU/ml (4分位点: 6.9-15.7)であった。経過観察期間の中央値は21.0ヶ月であった。56例中10例で再発が5例で癌死が確認され、2年無増悪生存割合(2yPFS%)は81.8%、2年全生存割合が91.5%であった。ROC曲線を用いて、GISのcut off値を69点と設定した(AUCは 0.696、感度100%、特異度47.8%)。高GIS群(n=24)と低GIS群(n=32)での2yPFS%の比較をおこなった。高GIS群では100%に対し、低GIS群では66.9%と有意に高GISで良好であった(log rank test p=0.002, Wilcoxon test p=0.004)。多変量解析をおこなったところ、GIS (p<0.001), BRCA変異 (p=0.788), Risk status(high or low risk; p=0.325)とGISが有意な予後因子となった。PAOLA-1維持療法の患者においてGISが独立した予後因子となることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に同意した症例のうち、現在までにmychoice診断システムによってHRD状態の明らかとなった症例は179例で、それに対応する尿検体を保存することができた。tBRCA変異症例は35件、tBRCA変異陰性のHRD陽性症例は49件、HRD陰性症例は87件、inconclusive 8件であった。今後、それぞれに対応する尿中のmicroRNAを抽出していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度のHRD状態による臨床的背景の解析により、進行卵巣癌においてHRD状態を把握する安価な検査の必要性が明らかとなり、患者の尿microRNAでのHRD状態の究を進めていく。
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